キーワード3:パーソナライズド検索
ユーザーにとって有益性が高いと考えられる、ユーザーの検索履歴から興味・関心を推定し、それぞれのユーザーの動向に合わせて最適な検索結果を表示するパーソナライズド検索は、PC版Googleにおいては既に実装されていると言われつつも、現在のところその実感はない。
しかし、今後以下の理由においてPCよりもモバイルのほうが先に発達していく可能性が考えられる。
- PCに比べて端末の共有が少なく、パーソナル性が高い端末である。
- 3キャリアともに、端末の個体識別情報の取得が可能で個人を特定しやすい。
- 表示画面が小さく1画面での検索結果の表示件数も少ないため、より個人の求めている検索結果に近い、精度の高い検索結果が求められている。
既にソフトバンクモバイルは、昨年10月にYahoo!ケータイ上のユニバーサル検索を強化したタイミングで、“2008年度中にパーソナライズド検索を実装する”と発表している。また、Googleに関してもモバイル版iGoogleの提供を開始し、機能を拡充していたり、iモードID(*1)を取得するように仕様が変更されたりと、パーソナライズド検索の導入に向けて準備は着々と進んでいると考えられる。こうした状況を考えても、モバイル検索において早い段階でパーソナライズド検索が導入され、発展していく可能性は大いにあり得る。
2010年のモバイル版パーソナライズド検索
ユーザーの検索履歴だけでなく、モバイル版コンテンツマッチ広告を活用したユーザーの行動履歴を元にした検索結果のパーソナライズ化(*2)も可能になっていくと考えられる。また、2010年時点での実装は難しいかもしれないが、Google、Yahoo!共にキャリアとの関係が密であるため、Edyなどの電子マネーで決済を行ったユーザーの購入履歴に基づく検索結果のパーソナライズ化など、FeliCaとの連携も考えられる。
では、今後パーソナライズド検索が強化された際に、サイト側の対策としてどのようなことが考えられるだろうか。
考えられることとしては、ビッグワードに絞った対策だけではなくロングテールまで見据えた対策が今以上に重要になっていくことだろう。例えば、最初に“バイト”と検索をしたユーザーが、より具体的な検索結果を求めて“バイト 居酒屋”と検索をしたとする。その次に“バイト 渋谷”と検索をした場合、過去の検索履歴から“バイト 渋谷 居酒屋”の情報を含んでいるサイトが検索結果の上位に表示されると考えられる。しかし、現状のモバイルSEOにおいては、複数キーワードの掛け合わせ検索に対する意識が低いサイトが多いため、今後ユーザーの検索履歴や行動履歴を活用して検索結果をパーソナライズ化した場合、多くのサイトがヒットしない状況になっていると考えられる。検索エンジンがサイト内をまんべんなく巡回でき、幅広いキーワードで対策を行っているサイトほど、検索結果がパーソナライズ化された際は優位になってくると言えるだろう。
おわりに
各キャリアが検索エンジンを導入してからのこの2年間だけで、さまざまな機能が実装されてきたモバイル検索であるが、まだまだ検索結果の精度は十分とはいえない。現在の各検索エンジンの動向を見てみると、検索結果表示順位のアルゴリズムを調整することで検索結果の精度を上げるというよりも、検索結果のパーソナライズ化や検索機能を追加するなどの抜本的な機能変更により、検索結果の精度を向上させようとする動きが見受けられる。
ただいずれにせよ、各検索エンジンはユーザーのニーズを満たす検索結果およびユーザビリティの向上を追求しており、今後の2年間でも多くの変化が起きていくことは間違いないことであろう。