AQインタラクティブから7月に発売された「KORG DS-10」は、ニンテンドーDS上にアナログシンセサイザーの名機「KORG MS-10」を再現した画期的なソフト。スクリーンに表示されたつまみやパッチパネルの操作によって音を手づくりし、演奏する楽しさが味わえる。発売とともに大きな話題となったこのソフトのユーザーが集い、大音量で演奏を披露するイベント「KORG DS-10 EXPO 2008 in TOKYO」が10月26日、渋谷のclub axxcisで行われた。
会場には約200名のファンが集まり、「KORG DS-10」の開発にたずさわったAQインタラクティブの岡宮道生氏とキャビアの佐野信義氏の司会のもと、10組を超えるアーティストが登場。ミニマルテクノから高揚感のあるダンスミュージック、和風テイストやテクノポップ、YMOの名曲などさまざまな楽曲が演奏され、「KORG DS-10」の表現力の高さに会場からは拍手が沸き起こった。
アーティストはニンテンドーDSだけでなく、エフェクターやエレキギター、スタイロフォンから自作の機材まで各自さまざまな機材を持ち込んで独自の世界を展開。中には100円ショップで購入したまな板立てをDS用のスタンドとして使っている人も。
演奏の合間には飛び入りコーナーやバトルコーナーも設けられ、司会者2人の絶妙なトークもあいまって、終始笑いの絶えない楽しいイベントになった。また、佐野氏のバンダイナムコ時代の作品を6台のDSを使ってリレー形式で再現するTuKuRu氏の演奏には、佐野氏本人も参加。総勢6名でDSを操作し、曲を途切れさせることなく演奏しきった参加者たちは笑顔でハイタッチ。
イベント中盤には、「KORG DS-10」を監修したKORGの金森与明氏による「はじめてじゃないシンセサイザー特別編」という講座が行われ、ディレイをイコライザーとして使うなどのテクニックやソフトの弱点(?)を逆手にとった裏技を使ってドラムの音をさまざまに加工し、多彩な音を作り上げる過程を実演。司会者もファンも食い入るように操作画面を見つめ、最後にその音を使って演奏が始まったときには、一堂感嘆の声をあげた。
金森氏が人生で2番目に購入したアルバムという坂本龍一の「千のナイフ」から1曲を演奏する段になって、そのアルバムに参加していたシンセサイザープログラマーの松武秀樹氏が突如登場。松武氏は「あの頃これがあれば、あんなに大きな機材を運ばなくてよかったのに!」というコメントで笑いを誘った。
その後も続々とアーティストが登場し、午後2時から始まったイベントは夕方の6時を過ぎてもまだ盛り上がり続けた。「KORG DS-10」は欧州や北米地域でも発売されることから、DS-10コミュニティはさらに世界に広がりそうだ。
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