店舗顧客のリピート率が従来の3倍以上に
Affiniumが稼働しだしてまだ間もない同社だが、現在走っているキャンペーンは、メルマガに関しては100種類超。現在も2週間に1本程度ずつ順次新しいメルマガが追加されている。従来のやり方なら企画から効果検証まで半年かかっていたが、現在のシステムではマーケターが自ら設計を行うことができ、メルマガの配信頻度の最適化、レポートや効果検証まで行えるという。実際このシステムでライトタイムマーケティングを試み、各種one to oneマーケティングで、店舗顧客が従来の3倍以上の高倍率で再度来店するという成果も得ているという。
「レコメンデーションも、お客様によって“新譜中心”、“チャートで知りたい”、“過去の商品のお薦めが知りたい”、“店舗のインストアイベントが知りたい”と、ニーズはさまざま。その情報をどのタイミングで届ければいいかも、お客様によって異なります」(清水氏)。
店舗の顧客の場合、お客様同士が顔を合わせる機会もある。メールを受け取った本人に納得感がないとクレームにもなるため、気を遣う点も多いという。逆に、eコマースの顧客に対してはメールをスパム化しないことが重要で、それらを考慮してタイミングも図っていく必要があるとのこと。
ライトタイムマーケティングは難しいがやるべきこと
日本は米国に次ぐ音楽マーケットの規模であるが、海外と日本のマーケットは業界環境や顧客の特性が異なるため、お手本はない。
「日本のマーケットの特殊性やリスナーの特性を考え、知恵を絞る日々」という清水氏。Affiniumを導入したが、やりたいことに対し足りない機能もあって、その部分は市川氏がアプリケーションを開発し、理想の形に近づけていったとのこと。
「内部に開発部隊がいることもHMVの強み。ツールの範囲内でできることしかやらなければ他社との差別化も図れなくなりますから、やりたい戦略に併せてツールの足りない機能を開発するぐらいの気概がないと」(清水氏)。
一番大切なことは「明確な目標、戦略があること」。開発を担当する市川氏も「システムが目指すゴールが明確だったので、IT部門もやりやすかった」と語る。ITと戦略が手を結ばなくては実現が難しい次世代のマーケティング戦略。同社は、その体制をいち早く構築している。
HMVジャパンのライトタイムマーケティングは、足場となる体制が固まったばかり。「ライトタイムマーケティングは確かに効果はあるが、簡単に効果が出るほど甘いものではありません。しかし、目標を明確にし、チームで戦略を共有し、愚直にトライ&エラーを繰り返していけば必ず大きな結果が出せるはずです」と清水氏。今後の同社のOne to Oneマーケティング戦略からは、目が離せない。

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