auの目指すライフスタイル戦略とは?
今までauは携帯の先進ユーザーやコアなユーザーに向けたサービスを積極的に展開してきた。そうした先進性の追及は続けながらも、今後はデジタルコンテンツに対して進んでアプローチしないライトユーザーに向け、さまざまな切り口でコンテンツへのタッチポイントを増やしていく。
auではタッチポイントを増やしていく試みとして、「ユーザーの利用シーンを創造し、その生活に彩りを加える」という観点からサービス拡充を進めている。「au Smart Sports」や「じぶん銀行」もその取り組みの一環だ。
音楽サービスに力を入れているauでは、ワイヤレスミュージックという提案をユーザーに行っている。手軽に楽しめるサービスとして、音楽でコミュニケーションをとれる「うたとも」もその1つ。うたともでは、自分が今聴いている曲と同じ曲を聴いている人を見つけることができるなど、似たような嗜好を持つユーザー同士がコミュニケーションをとることができる。
また、ソニーのミュージックコンポやウォークマンとの連携も進め、音楽サービス充実を図っている。同様に、携帯以外のコンテンツプラットフォームの形として、PC上でのLISMOを使った音楽配信や、au BOXへの取り組みもあげられた。竹之内氏からは「今年度中に新たな展開を考えている。近々発表できるのでは」と次の展開が進められていることが明らかにされた。

通信回線を使わないBluetoothでの通信対戦。ゲーム、電子書籍への新たな試み
モバイルゲームについては、大容量のコンテンツをたくさん提供しても、売り上げが伸びていくわけではないという。そのため、みんなで楽しもうというコンセプトのもと、ゲームコンテンツ活性化のために考えられたのが、Bluetoothを利用した通信対戦だ。通信回線を使わずに、近くにいる人と通信プレイをすることができる。
また、「携帯ゲームは各キャリアでバラバラに展開しても、コンテンツプロバイダーがついていけないのではないか」として、キャリア間で差異がなく、キャリアが違うユーザー同士でも遊べるような環境を用意していく考えだ。
10代、20代が突出しているモバイルゲームのユーザー層をライトユーザーに広げる努力も行われている。例えば、居酒屋やスポーツ新聞に、ファミコン世代のリメイク版携帯ゲームの広告を掲載したところ、30代のユーザーがぐっと増えたという。これもタッチポイントを増やしていく試みの1つ。今まであまり活用されてこなかったメディアを見直し、利用していくという。
携帯の電子書籍については、流通額が1年間で約2倍に伸びており、そろそろ次の展開を図るべきフェーズにきている。今までは既存作品の焼き直しだったが、音楽においてCDベースではなく着うたとの同時リリースなどマーケティングツールとしての利用が定着したように、紙から携帯に移植するという流れだけでなく「携帯から紙へ」という流れをつくっていく考えだ。
例えば、コンテンツを起点とした携帯への新たなアプローチの1つとして行われたのが、今話題を集めている「島耕作ケータイ」。11月20日に予約を開始したが、既に1000台ほどの申し込みがあるという。特に30代、40代の購買力のあるユーザー層にアプローチができた。携帯限定の書き下ろしコミックを試験的に配信したり、コミック内でさりげなくauの携帯電話を登場させたりなどの工夫も行っている。