どうなる2009年モバイル業界
iPhoneやGoogle Androideなどの登場や、Flash Liteやウィジェットなどによるコンテンツのリッチ化など、モバイルならではの可能性を大きく広げた2008年。日本でも、モバイルキャリアの勢力変化や世界展開を意識したソフトウェア開発など、トピックスに事欠かない。はたして、世界的なモバイル元年ともいわれる2009年がどんな年になるのか。
KLab株式会社代表取締役社長 真田哲弥氏(コーディネーター)、通信・ITSジャーナリスト/IRIコマース&テクノロジー客員研究員 神尾寿氏、エフルート株式会社代表取締役会長 佐藤崇氏、株式会社魔法のiらんど コンテンツ事業部部長 草野亜紀夫氏、株式会社寺島情報企画 コンテンツ事業部部長 水野和寛氏という、業界を代表する5人のキーマンが、昨年行われた同セッションを振り返りつつ、さまざまな角度からモバイル業界の流れを予測した。
docomoの「逆襲」、スマートフォンの台頭
3名が「docomo」を選び、昨年同じ質問で最も票を集めた「softbank」から首位を奪還した。神尾氏は「docomoが成功するというより、他社が厳しくなる」と語り、「softbankが販売戦略での不備により躓きつつあり、auは体勢を立て直しつつあるが、復活までにもう少し時間がかかる。イーモバイルは面白いキャリアになりそうだが、あくまで傍流。docomoはこれまでの問題点を直して、着実に復活するだろう」と分析した。
softbankがこれまでの慣性で伸びるが、一方でdocomoの「逆襲」が本格的に始まるという見方が多かった。
2008年大きな話題をさらったiPhoneをおさえて、Windows MobileとSHARPが2票ずつを獲得した。神尾氏は、単独機器としてのiPhoneの魅力と可能性に触れた上で、トータルなサービス環境の整備への期待感と、法人向けの伸びを見込んで、Windows Mobileを評価した。
また、SHARPを推した真田氏は「普通のケータイとスマートフォンの市場は桁が1つ違う。その中で、どちらにも対応できるSHARPに可能性を感じる」と述べた。
世界に先駆けて米国で2008年10月に発売開始となった、世界初の商用Android搭載端末「T-Mobile G1」。日本でも発売が待ち望まれているGoogle Android端末だが、果たして取り扱うキャリアやメーカーはあるのだろうか。パネラー投票では「一部のメーカーとキャリアが試験的に販売するに留まる」というシビアな見方が最も多かった。
神尾氏は、Google Android端末の「コスト削減」というメリットに着目しながらも、「開発環境などが整うまでにしばらく時間がかかる」という理由から、実環境での活用までに3年ほどを要すると述べ、「docomoのPRIMEシリーズが伸び悩んでいること」をあげて、市場の温度がまだ高まっていないと分析した。昨年、同様の質問では「保険として1機種は対応する」「どこも採用しない」というメリットに対して懐疑的な意見が多かったが、比べてその価値をややポジティブに評価しようとする傾向が見られた。
神尾氏以外の4名が投票に参加し、「様子を見る」とした魔法のiらんどの草野氏以外が、参入への意欲を強く示唆した。2008年11月に既に参入し、楽器のアプリケーションなど4作品を提供している寺島情報企画の水野氏は「世界を相手にした新しいコンテンツプロバイダの収入源になるのではないかと期待している。まだ有料版については思うように売り上げは上がっていないが、無料版は10万ダウンロードを数え、市場のポテンシャルは高い」と手応えを語った。
また、これから参入予定というエフルートの佐藤氏も「検索サービスでスマートフォン対応していく」と意欲を語った。