不況にフィルタリング、モバイル業界への影響は?
3名が「パスした一部のサイトだけが成長し、市場規模は変わらない」に票を投じた。
神尾氏は「フィルタリングによって悪質サイトは減る可能性はあるが、対応するところはする、きちんとやっているところはパスできるというわけで、全体として市場規模に変化はないのではないか」と分析した。
前年のモバイル広告についての質問については、「コンテンツマッチ広告」に票が集中したが、今年は意見にばらつきが生じた。
佐藤氏は「検索エンジンを事業として持つ会社のため、本来はリスティング広告と答えるところだが、十分に伸びているので、これからの期待を込めて」と語り、「バナー広告」に票を投じた。さらに「端末IDが採用されることになり、広告のパーソナル化が進んだ際にビジュアルで訴求するバナー広告が効果的なのではないか」とコメントした。
草野氏も同様に広告のパーソナル化に着目しているが、その意味でも既に仕組みが浸透している「コンテンツマッチ広告」の方を推した。
1票のみの場合は「アフィリエイト」に人気が集中したが、2票となると、分散し、「キャリアのMenuの順位」「SEO」「アフェリエイト」が同着となった。水野氏は「アフィリエイトは外せない」としつつも2票めは「リスティング広告」に投じ、「プロモーションの価値をPVよりもコンバージョンにあると考えれば、リスティング広告の効果が上がることを望みたい」とその理由について語った。
一方、「アフィリエイト」の効果について疑問視するのは、コーディネーターの真田氏。「アフィリエイトの獲得単価が上がりすぎていて、来訪が増えているが、そのせいで赤字にもなっているという話を聞く」と指摘。
それを受けて水野氏は「確かに単価は上がっているが、一方で業者が増えており、裾野が広がっている。細かく効果を検証できるような業者もあり、取捨選択が進むだろう」とコメントした。また、佐藤氏は「退会しにくさなどを含めアフィリエイトが優位。SEOやリスティングなどは予算が見積もりにくいため、法人にとっては手が出しづらいのではないか」と、ユーザー側から見た際の利用しやすさという観点から意見を述べた。
やはり意見が割れた

真田氏が「広告が入りにくくなる」、水野氏、佐藤氏、草野氏が「端末の売れ行きが悪くなる」と一部ではあるが影響を懸念するのに対し、神尾氏は「まったく影響はない」と真っ向から否定。「端末が売れていないのは、各キャリアの販売システムに問題があったため。有料コンテンツは額が小さいので影響ない。広告に関しては、高価なテレビ広告からの撤退が進み、逆にモバイルに移行することが期待される。ぜひとも金融恐慌を言い訳にせず、モバイルの可能性を追求して欲しい」とモバイル業界を激励した。
まとめの質問に対しては、「優勝劣敗が明確になり、合併やM&Aが頻発」に票が集まった。水野氏は「企業ごとというより、サイト単位での優良劣敗が進む」と分析し、神尾氏も「2009年は、業界構造自体が大きく変化する」と予測。「キャリアの販売戦略の不手際が影響。そこを中心に優勝劣敗が明確になり、コンテンツ側も、今後のフィルタリングをされる時期になるのではないか」と語った。
その後、最後の質問として、来年のmobidec開催の可否が問われた。「もちろん大盛況で開催!」という全員一致の答えと、それぞれのビジネスへの意気込みを感じさせるパネラーの表情に、会場からは大きな激励の拍手が送られた。
