ソーシャルならインディ系音楽SNSが進んでる

何がポイントかというと、従来、アーティストは自分の楽曲をサイトにアップしてリスナーに試聴させ、気に入ってもらえればダウンロード販売するという単純な仕組み(いわばタテのつながり)だったのが、サイト内でリスナー同士を自由に交流させること(いわばヨコのつながり)で情報の共有を加速させ、ついでにSNS内で販売までしてしまった点。
一見、ショッピングモールのように見えるけれども、もっとユーザー(消費者)同士の交流を積極的にサポートするように設えられた、そのユーザビリティがとてもニクイ。
ちょっと長くなるけれども、一応書いておくと、まずアーティストは、ReverbNation内にサブドメインを取得してマイページを作る。リスナーは、直接彼らのページにアクセスして、そのページ内で楽曲を試聴したり、写真を見たり、ビデオを再生したり、ライブスケジュールをチェックしたりできる。
アーティス トのブログも、いちいちサイトを立ち上げなくてもここで公開されるし(彼らも結構忙しいから手間のかかるのはダメ)、このアーティストに関するネット上の話題(ファンのブログとか)も瞬時にチェックできる。
なんなら、「その曲、ステキ」 とコメントを投稿してもイイし、ファンクラブにメンバー登録することもできる。もちろん、既にファンクラブに加入している他のユーザーのプロフィールページも自由にチェックできる。おまけに、リスナーのブログで楽曲を再生させるためのウィジェットやバナーまで配布されていて、クチコミさせるためのツールが 準備万端という案配なのだ。
さらにもっと重要なことは(他のユーザーをチェックすることで、そこから未知のアーティストを知ることになるのは容易に想像つくだろうけれど)、実はアーティスト自身もSNSのメンバーとして、他のアーティストをお気に入りに登録して相互レコメンドできるようになっていることだろう。
さっきのタテヨコにナナメを加えていわば三次元的つながりになるわけで、そうするとそこに集う全メンバーがバイラルマーケティングの実行者たりえる。だから、人つながりが延々と続き、様々な角度からアーティストとリスナーが巡り会える可能性が広がるという話。スバラシイ。
で、これらのほぼすべてが、タブを切り替えることで同一ページ上に表示される。

この他のページへ遷移しない構造が、実に使い勝手よろしく、またそのページの滞留時間を長くすることにとても役立っている。他にも同様の趣旨のサービスはあったけれども、ボクにはここが一番スマートに思えた。
さて、この「アーティスト」を「ショップ」に、「リスナー」を「ユーザー」もしくは「消費者」に読み替えると、そこにECの理想型を見ることができそうだ。
そもそもインターネットは「個」と「個」がつながるためのツール。しかも、それぞれが自由に発信できる点が、ユーザーを単なる情報の受信者としてマスでくくってしまうメディアと違う。だから、互いに交信するための使いやすい仕組みなり環境なりを提供すれば、検索や広告に頼らずとも人つながりで情報は伝わっていく。有益な情報ならなおさら。ま、そこが肝心なんですが。
ショップAの顧客がショップBの顧客とSNSの中でつながり、お互いが贔屓にするショップや商品情報を共有することで、それぞれのショップは新しい顧客を誘導できる。それが、また違うショップCの顧客につながり、更にずっとつながっていくとどうなるか? そう、その通り、有難いことに広告費がどんどん減っていく。お~、こりゃあイイ……などと一人はしゃいでたら、さらに一歩進んだRasbaが現れた。

ここは、ReverbNationよろしく、ショップと消費者が共にユーザーとして混在するSNSになっている。ま、販売品目は限られているし、ショップの規模もさして大きくない印象だけど、注目しておきたいのはSNSにアフィリエイトをミックスしたところ。
消費者ユーザーAのプロフィールページに買った商品とお気に入りのショップが表示されていて、それを見た他の消費者ユーザーBが同じ商品を買うと、そのユー ザーAに対してショップが任意に設定したコミッションが支払われる。 ちょっと露骨な気もしないでもないけれども、ショップと消費者を「混在」させるとこういうことも簡単にできる。
ただ、実を言うと、昨年あたりからソーシャルショッピングの世界も、ショッピングにテーマを絞ったSNSだけではなくて、既存のSNS内でもポータブルショップを開いて ビジネスしようという動きが活発化している。