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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

ビジヲタ必見!「すべらない事業」の作り方

超ニッチな事業ドメインの設定で成功した「薬事法広告研究所」


Q 他社との差別化・競争優位性はどこでしょうか?

 薬事サービスに関して、私なりに調べた結果、競合と言えるような会社は5、6社しかないことがわかりました。また、その中でもA社が断トツでクライアント数が多いということがわかりました。2008年当初、A社のクライアント数は約200社と言われていました。

 A社は、私たちが目指した、いわゆる専業の会社で、その他は広告代理店などとの兼業でした。A社が多くのクライアント様を抱えていた理由として、法律すれすれ、実際にはいわゆる脱法指南的なコンサルティングを行って、クライアント様に大きな利益を与えていたことがあったのではないかと感じています。A社は、私見ですが、とにかくお金儲けをしようという臭いがプンプンで、それを求めるクライアント様が集まっていたと思います。

 通販業界は歴史も浅く、お客様のことを考えない、インチキまがいの会社がいまだに数多くあります。さすがに商品が届かないというような問題はほとんどなくなっていますが、代わりに誇大広告でお客様をだますような手法が跋扈しているのが現状です。騙す通販会社も悪いですが、騙されるお客様にも問題があるとは思います。がしかし、通販会社が正しい広告を行えばお客様が騙されることはなくなるわけです。

 私たちは、A社と似たようなサービスを行うものの、その内容においては明確に違いを出さなければと思い、初めから法令順守とリライトのクオリティ重視を鮮明にし、いわゆる脱法指南的なコンサルティングは行わないことにしました。

 正直、A社の事業内容とその実績をみると「正しいことを行っても、ビジネスとして成り立つのか?」と心配になるほどでしたが、やずやグループ未来館様をはじめ、私たちの考えを支持してくださるクライアント様も少なからずいたことから、とにかく真っ当なことをやってビジネスとして成り立つかどうかチャレンジしてみようと決断しました。

 話は大きくなりますが、私たちとしては、法令順守で、きちんとした運営をしている通販会社が繁盛し、誇大広告などで通販業界の信用を落としいる会社が排除されていって、通販業界が世の中にしっかりと認められるようになることを目標に掲げています。簡単に言うと正直者がバカを見ない業界をつくるということです。それを成し遂げつつ、ともすれば過剰な規制がかかっていると思われる化粧品の表現や、多くのお客様の健康維持に貢献している健康食品が普通の食品と同等に扱われていることなどを改善するという考えです。

Q クライアントに支持される理由は何でしょうか?

 前述の法令順守の理念とともに、クライアント様の売上げを少しでもあげるためにリライトのクオリティを追及していく姿勢が、支持される理由だと思いますが、もうひとつ、行政の指導・取り締まりが厳しくなり、薬事法違反で逮捕される経営者や景表法違反で排除命令を発せられる企業が増えてきたため、通販業界全体に広告表現に気をつけないと会社の信用・信頼を失い、しいては売上げも失ってしまうのではないかという危機感が強まってきたという外部要因もあったと思います。時代の流れに合っていたということが言えるのではないでしょうか。

 具体的には、チェックを行う際にその表現がNGである理由をひとつひとつにつけていくという手間のかかるサービスを行っているということがあります。また、ある月にチェック&リライトを行わなかった場合はその権利を半年間持ち越せるなどのサービスも行い、お客様が損をしない仕組みをつくっています。

チェック&リライトの例(1)
 
チェック&リライトの例(2)
 

 料金も月額2万円からに設定し、売上規模が小さい通販会社でも加入しやすいようにしました。さらに、契約期間は1ヶ月単位で、サービスに満足できなければいつでも解約できるようにしています。(この1年間での解約は2件のみ。2009年6月時点の契約社数は73社)

 直接のサービスではありませんが、毎月の請求書に弊社担当者からの一筆箋(直筆)を添えています。これはよりお客様のことを知り、感謝の気持ちを忘れないための取り組みです。例えば、私たちは「契約を獲る」という言葉を使わず、「ご契約をいただく」というように社内での用語を統一しています。事業のドメインが通販業界であることから、私たちのビジネスもお客様本位であることと、契約の継続を最も重視しています。

次のページ
Q 事業を進めるにあたり苦労した点はどこでしょうか?

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この記事の著者

矢作 嘉男(株式会社ハチワン)(ヤハギ ヨシオ(カブシキガイシャ ハチワン))

株式会社ハチワン代表取締役。New Jersey City University卒。
中国人観光客向けクーポンサイトなどインバウンド媒体を運営。
2011年、中国のインターネットプロモーション事業を行う北京博洛密網絡科技有限公司と提携し、中国向けプロモーション事業を開始。本当に成果の出る中国市場向けインターネットマーケティングのみをを提供し、インバウンド向けから中国現地進出向けまで数多くの実績を持つ。
プロモーションのご相談:info@813.co.jp

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2009/07/01 19:22 https://markezine.jp/article/detail/7629

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