傷ついたプレーヤーに、助けを求める場所を
Orange「Safe Zone」
ゲームの敵に襲われたら、逃げることができます。では、他のプレーヤーの言葉に傷つけられたとき、どこへ逃げればよいのでしょうか。
フランスでは、若者の5人に1人がネットいじめを経験しています。しかし、ゲームの外で注意を呼びかけるだけでは、被害が起きた瞬間に助けることができません。
そこで通信会社Orangeは、「Fortnite」や「Roblox」の既存マップに、現代版の電話ボックス「Safe Zone」を設置しました。中では対処法を学べる他、被害者や目撃者は専用ボタンから各国の相談窓口へアクセスできます。
2022年から2025年までに、「Fortnite」だけで延べ1,680万人以上が利用。Orangeがつくったのは広告ではなく、ゲームの中で助けを求められる新しいセーフティネットだったのです。
現実世界の問題がゲームに流れる
このようにゲームが現実の延長となり、人が集まる社会になれば、ハラスメントやいじめといった現実の問題も入り込んできます。調査からもゲームコミュニティーが抱える、深刻な問題を読み取ることができます。
一方で、原因を一部の悪質なプレーヤーだけに求めることはできません。勝利や成果を過度に求める競争の仕組みが、不正や攻撃的な行動を招くこともあります。さらに、お金を使わせるランダム報酬のような設計には、規制を求める声も高まっています。
ゲームが現実社会の一部になるほど、ブランドに問われるのは、そこでどれだけ目立つかだけではありません。プレーヤーの声に耳を傾け、安全で公平な環境づくりにどれだけ貢献できるか。ゲーム文化を利用するだけでなく、その世界をより良くする役割を果たすことが、長く受け入れられるブランドの条件になっていくでしょう。
まとめ:ブランドはゲーム文化とどう向き合うべきか?
本稿で紹介した事例に共通するのは、ゲームが「現実の生活と地続きになっている」ことです。そこでは人が学び、働き、仲間とつながり、資産や実績を築き、ときには傷つきます。調査から見えたスキルへの評価、現実的な報酬への期待、安全な環境を求める声は、まさに生活者としてのリアルな欲求だといえます。
ブランドは、リアルとゲームのコネクターに
だからこそ、ブランドに求められているのは、2つの領域を行き交う生活者の良き「コネクター(つなぎ手)」になることだと思います。
プレイを通じて磨いたスキルを現実の社会で活かせるようにしたり、現実のサポートを届けてゲームの中に安心できる居場所をつくったり。目指すのは、ふたつの世界を心地よく循環させることです。
その先にはきっと、コントローラーを置いたあとも長く続く、人とブランドのあたたかい関係性が待っているはずです。
