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MarkeZine Day 2026 Autumn(AD)

リテールメディアのブラックボックスを解消!エッジAI×人流データで実現するフルファネル計測

MarkeZine編集部[著] / 関口 達朗[写]

 ECが拡大する現代においても、国内消費の約9割は今なお「リアル店舗」で生まれている。そのため、店頭サイネージをはじめとするリテールメディアへの期待は高まる一方だ。しかし、「実際に誰が広告を見て、購買に至ったのか」が捉えにくいオフライン空間の効果測定は、長年マーケターを悩ませるブラックボックスだった。この壁を打ち破るべく、人流ビッグデータを持つunerryと、エッジAIソリューションを展開するソニーマーケティングがタッグを組んだ。本記事では、MarkeZine Day 2026 Autumnで行われたセッションをもとに、分断されていた「店外」と「店内」の顧客行動をシームレスに可視化する最新アプローチと、先進店舗「TRIAL GO」での実証実験から得られた実践知を詳しく解説する。

リアル店舗の効果計測の壁とリテールメディアの現在地

 国内において、依然として9割近くがリアル店舗での消費購買となっている。そのため、実店舗に設置された店頭サイネージをはじめとしたリテールメディアは、広告主からの注目や投資意欲が年々高まっている。

 一方で、オフライン領域のメディア投資には大きな構造的課題が存在していた。デジタル広告であれば、インプレッションからクリック、CV(購買)に至る一連のユーザー行動をトラッキングできる。対してリアル空間の店頭サイネージでは、「何人が広告を見たのか」「その広告が購買につながったのか」といった基本的な効果測定すら困難であった。

 unerryの須磨氏は、「効果の有無、ましてや購買につながったかどうかも不明な状態では、継続的な投資判断は下せない。これこそが店頭メディア拡大の最大のボトルネックであった」と語る。この効果測定のブラックボックス化こそが、リテールメディア市場のさらなる成長を阻む要因となっていたのである。

株式会社unerry
セールス部 リテールグロース
須磨 武司氏

 この長年の課題に対し革新的なアプローチを提示したのが、unerryの人流データとソニーマーケティングのAI解析ソリューションの連携である。これまで分断されていた「店外での顧客行動」と「店内での顧客行動」をシームレスに統合し、オフライン環境でも精緻な効果計測を実現する道が拓かれようとしている。

店外行動を可視化する、unerryの月間8.5億ID人流ビッグデータ

 店外における生活者の行動を把握する鍵となるのが、unerryが提供するリアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」である。同社はスマートフォンアプリ経由で同意を得たユーザーの位置情報を取得し、月間8.5億IDにおよぶ膨大な人流データを蓄積している。広域をカバーするGPSと、全国約200万箇所に設置されたビーコンの高精度データを掛け合わせている点が強みだ(数値はイベント当日時点)。

 特筆すべきは、位置情報から生活者のライフスタイルや趣味嗜好をプロファイリングする技術である。「週末にゴルフ場へ通う人はゴルフ好き」「平日の夜に居酒屋へ寄る人はお酒好き」といったように、物理的な移動履歴をマーケティングに活用可能な「属性データ」へ昇華させている点に価値がある。

 もちろん、プライバシーへの配慮も万全である。取得データは改正個人情報保護法における「個人関連情報」であり、氏名や住所などの個人特定情報は含まない。さらに位置情報業界団体(LBMA Japan)のガイドラインに準拠し、厳格なガバナンスのもと運用されている。

 安全性が担保された人流ビッグデータにより、店舗周辺の通行者属性や、どのようなライフスタイルを持つ層がどの時間帯に集まるのかといった、これまで見えなかった「店外のリアルな状況」が鮮明に浮かび上がる。

ソニーが取り組む、店内行動可視化の最前線とは?

 一方、店内の顧客行動やサイネージ視認状況の可視化を担うのが、ソニーマーケティングの「AI解析ソリューション with AITRIOS(アイトリオス)」である。

 従来のAIカメラは、取得映像をクラウドへ転送して解析するクラウド型が主流であった。しかしこの方式は、通信コストの肥大化に加え、来店者のプライバシー保護の観点から店舗導入のハードルが高いという課題を抱えていた。

 これに対しソニーは、カメラデバイス側(エッジ)でAI処理を完結させるエッジAI技術を採用している。ソニーマーケティングの深山氏によると、画像センサーとロジックチップを一体化した「インテリジェントビジョンセンサー」を搭載し、デバイス内部で画像をテキストデータへと即座に変換処理している。

 深山氏は、「『通過人数』や『視認人数』といったテキスト化された数値データのみをクラウドに送信するため、持続可能かつ安全な解析ソリューションとして提供できる」とメリットを語る。生映像は外部に出ないため、プライバシーに最大限配慮したデータ化が可能である。

 このエッジAIデバイスを店頭サイネージ付近に設置することで、前を通った人数だけでなく、顔の向きから「実際に何人がサイネージを視認したか」を高精度に検知できる。これにより、ブラックボックスだった店内での広告接触が明確な数値として可視化されるのである。

2社の技術が融合。「店外」と「店内」をつなぐ高度なペルソナ分析

 unerryの「店外行動データ」と、ソニーマーケティングの「店内視認データ」。この2つのテクノロジーが融合することで、店頭メディアの効果計測は次のフェーズへと進化する。最大のブレイクスルーは、単に「視認率」を測るだけでなく、「どのような属性の人が見たのか」まで分析可能になった点である。

 従来のカメラ単体による属性推定は、性別や年代の判別に留まっていた。しかし、AIカメラの視認ログとunerryの人流プロファイリングデータを重ね合わせることで、「近隣住民か」「オフィスワーカーか」「競合店の常連か」といった高度なペルソナ分析が可能になる。従来の単なる「性別・年代」推測を超えた精緻なターゲティングが実現するインパクトは絶大である。

 深山氏は、「店外と店内の分断という課題に対し、両データを掛け合わせることでシームレスな効果計測を実現した」と強調する。狙ったターゲット層へ適切に広告が届いているかを数値で確認できることは、マーケターがメディア投資の妥当性を判断する上で極めて重要である。

ソニーマーケティング株式会社
B2Bビジネス本部 統合戦略部門 ビジネスディベロップメントマネジャー
深山 大輔氏

 さらに、これらの蓄積データは配信の自動化にも貢献する。曜日や時間帯ごとの客層変化をAIが学習し、その場の来店者に最適なコンテンツを自動で出し分ける「プレイリスト生成」など、より高度なリテールメディア運用への足がかりとなっている。

【事例】TRIAL GOでの実証実験では「視認率60%」を確認

 両社技術の実効性を証明する取り組みとして、先進的なリテールDXを推進するトライアル(TRIAL GO)の店舗における実証事例が紹介された。検証では、店舗入口上部の大型LEDサイネージ付近にソニーのエッジAIデバイスとunerryのビーコンを設置し、広告の視認状況と通行者の属性を掛け合わせて分析を実施した。

 実証結果は鮮烈であった。店舗前を通行した人のうち「約60%」が実際にサイネージを視認している事実が、明確な数値として裏付けられたのである。これまで推測の域を出なかった店頭メディアの影響力が、定量データとして実証された瞬間であった。出稿を検討するメーカー企業にとっても、強力な投資根拠となる。

 さらに、時間帯ごとの視認者のライフスタイル傾向も可視化された。例えば「店舗近隣に居住し、遠方へ通勤している」セグメント層は、朝夕の通勤時間帯に集中して店舗前を通行し、サイネージを視認していることが判明した。

 須磨氏は、「店前を通行している人の時間帯別のペルソナに合わせた配信を行うことで、より投資対効果の高いメディア運用が可能になる」と語る。勘や経験に頼らない、データドリブンな店頭プロモーション戦略が現実のものとなった。

顧客理解を深め、リテールメディアの投資対効果を最大化

 エッジAIと人流データの融合は、単なる「視聴率測定」にとどまらない。最終的なゴールは、広告接触から店舗購買に至るフルファネルでの効果検証である。深山氏は、「サイネージへの複数回接触が最終的な購買にどう寄与したかというコンバージョン(CVR)まで追うことができる」と展望を明かす。

 店頭サイネージの視聴データとPOS購買データを紐付けることで、どのクリエイティブが最も購買を動かしたかといったA/Bテストも容易になる。これによりリテールメディアは、認知獲得のための「マス広告」から、確かな投資対効果を追える「パフォーマンスメディア」へと変貌を遂げる。

 今後は検証対象を店内に限らず、さまざまな生活動線上へと拡大していく構想もある。深山氏が「リアルデータをつなぐことで、生活者にとっても真に価値ある情報発信メディアをつくれる」と語るように、計測技術の進化は企業の投資効率化だけでなく、購買体験そのもののアップデートに直結している。

 分断されていたリアル空間の顧客行動をつなぐこのソリューションは、リテールメディアの真価を解き放ち、これからのブランドマーケティングを強力に支えていくはずである。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:ソニーマーケティング株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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