デジタル広告が広告市場の過半数を占める一方、屋外や交通などのリアル空間を活用したメディアも成長し続けている。AI時代において、こうしたリアルな顧客接点にはどのような価値があるのだろうか。本記事では、オフラインのメディア開発から運営を手がけ、メディアプラットフォーム事業を展開するニューステクノロジー 代表取締役の三浦氏が、OOH・DOOH市場の成長から考える、AI時代におけるリアルな顧客接点の重要性を前後編で解説。この前編では、電通「日本の広告費」をはじめとした市場データをもとに、メディアを開発・運営する現場の視点から、OOH・DOOH市場が成長する背景を紐解く。
成長を続けるOOH・DOOH市場
まずは、広告市場全体の動向から見ていきましょう。電通「2025年 日本の広告費」によると、2025年の総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)で、4年連続で過去最高を更新しました(図1)。市場全体の伸びを支えたのは、インターネット広告費です。4兆459億円と初めて4兆円を超え、総広告費に占める割合は50.2%に達しました。

その一方で、リアルな空間に展開されるメディアも成長を続けています。屋外広告は3,042億円(同105.3%)、交通広告は1,736億円(同108.6%)と、いずれも市場全体の伸び率を上回りました。
こうした屋外や交通機関、店舗など、自宅以外の場所で生活者に届く広告を総称して、OOH(Out of Home/アウト・オブ・ホーム)と呼びます。そのうち、デジタルサイネージなどを活用した広告がDOOH(Digital Out of Home/デジタル アウト・オブ・ホーム)です。
DOOH市場においても、2025年10月に発表されたデジタルサイネージ市場調査によると、2030年に市場規模が1,647億円に達し、2025年の約1.5倍に拡大すると予測されています(LIVE BOARD・デジタルインファクト調べ、CARTA HOLDINGS監修)。

三井不動産も新設。媒体社に限らない「メディア投資」
メディアを開発・運営する現場でも、こうした市場の広がりを感じています。近年、私たちのような媒体社に加え、施設や空間を所有する事業者も、メディアへの投資を進めています。たとえば、不動産会社がまちづくりの一環としてデジタルサイネージを導入する取り組みも、その一つです。
三井不動産は、渋谷の「MIYASHITA PARK」のリニューアルに伴い、館内外に計58面のデジタルサイネージを新設しました。大型画面の導入に加え、複数の画面を連動させた映像演出や、音響と組み合わせた情報発信など、施設のメディア機能を強化しています。
企業が、これまでメディアがなかった場所にデジタルサイネージを新設したり、既存の広告設備をデジタル化したりすることで、広告を届けられる場所が増え、媒体そのものの価値も高まっています。
メディアへの投資が進む中、OOH・DOOH市場では具体的にどのような変化が起きているのでしょうか。ここからは、メディアを開発・運営する現場で注目している3つの変化を通じて、市場成長の背景をさらに掘り下げていきます。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
三浦 純揮(ミウラ ジュンキ)
株式会社ニューステクノロジー 代表取締役/株式会社ベクトル 執行役員
新卒で株式会社ベクトルに入社し、入社後1年で北京支社の立ち上げに参画。2018年にニューステクノロジーの代表に就任。現在は、都内最大級のタクシーサイネージメディア「GROWTH」をはじめ、喫煙所サイネージメディア「BREAK」、屋外広...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
