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第3回 サステナビリティ(持続可能性)をマネジメントする

もの自体ではなく“プロセスの継続”

 本来「神は来るもの」とされる神道においては、神を祀る常設の社殿は従来存在せず、祀りの都度、新たに祠が造るのが一般的だったと言われています。そうした考え方はいまでも沖縄の御嶽(うたき)と呼ばれる聖地に見られます。伊勢神宮も同様にはじめは常設の社殿を持たず、神籬や祠のような臨時にたてられる建物でした。

 そうした臨時の建物が常設の神の宮(神の宮殿)となったのは、ちょうど式年遷宮がはじまった頃だと言われています。周期的に遷宮を行うのは、そもそも神様を迎えるための臨時の建物がはじまりとなっているからなのでしょう。神社においては本来、重要な要素は社殿そのものではなく、神が来る場所である鎮守の杜なのだそうです。伊勢神宮でも社殿などは20年ごとに刷新される一方、内宮の社殿を中心とした付近は神域とされ、神宮の鎮座以来約2000年間にわたり、まったく斧を入れることのない禁伐林とされています。私も6月に伊勢神宮を訪れましたが、その杜から感じられる圧倒的な生命エネルギーは実際に社殿以上に神々しさを感じさせるものでした。

 建物そのものを将来に残そうとするギリシアの古代神殿と、建物を周期的に造り替えながら杜を含めた場そのものを将来に残そうとする伊勢神宮とのサステナビリティに対する姿勢は、物体そのものを見る西洋人的認識と、物体のあいだの空間に注目する傾向がある東洋人的認識の違いにつながるのではないでしょうか? これは組織、器官をそれぞれ独立して異なるものと認識して治療の対象と考える西洋医学と、人は自然のなかの1つですべてのものとお互いに関連し影響しあっていると考え、人体の組織や器官も全体として有機的につながりを持った1つの自然としてみなす東洋医学の考え方の対比にも重ねられます。前者が病気に対して治療を行うのに対し、後者が普段の生活の中の予防を重視する傾向があるのも、個々人の生命のサステナビリティに対する考え方の2つの異なる形であるように思います。

 そうした日々の行動スタイルそのものを重視することで継続的改善により持続可能性を高めようとする東洋医学の考え方は、企業マネジメントの手法においても日本発ともいえるPDCAのプロセスを重視する考え方に受け継がれているのではないかと感じます。それに対して、問題の定義、測定、分析から改善、コントロールにいたるシックスシグマのDMAICの考え方は、西洋医学的なブレークスルーの発想なのではないでしょうか?

 もちろん、どちらが優れているというのではなく、日々の継続的改善にはPDCAが向いていて、DMAICは問題のブレークスルーに向いているという風に、それぞれ適した用途があるということではないかと思います。

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この記事の著者

棚橋 弘季(タナハシ ヒロキ)

芝浦工業大学工学部(建築学専攻)卒。マーケティング・リサーチ、Web開発等の仕事を経て2003年より株式会社ミツエーリンクスに。現在はWebを使ったマーケティングに関する企画や自社サービスの開発に従事。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2006/08/07 00:00 https://markezine.jp/article/detail/77

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