再び伊勢神宮へ
常設化されたWebサイトを中心にマーケティングを考えるとプロセスマネジメントが重要になるということと、先の伊勢神宮において社殿が常設となった後、式年遷宮というプロセス・マネジメントが導入されたことの間には非常に強い類似性を感じます。変化する環境において、何かを変わることなく維持しようとすれば、日々の生活の中にどれだけプロセス・マネジメントを馴染ませることができるかが課題となってくるのでしょう。
伊勢神宮では1300年続く式年遷宮とは別に、毎日朝夕の二度行われている天照大御神に神饌をお供えする「日別朝夕大御饌祭」が行われています。この毎日2回の行事は外宮の御祭神である豊受大御神が今から約1500年前に天照大御神のお食事をつかさどる神として丹波国から伊勢にお迎えされて以来、なんと1500年間、毎日欠かさず続けられているそうです。
そうした行事が1000年以上続けられているということは、それは単に行事そのものがプロセス化されているというだけでなく、そのプロセスをまわし続けることが、先の企業のサステナビリティと同様に、経済、環境、社会の3つの側面で価値を認められていなくては継続することはできないはずです。
実際、平成5年に行われた式年遷宮では327億円の経費がかかっており、次の平成25年の第62回式年遷宮の予算は550億円と試算されています。こうした莫大な経費をかけてまで1300年もの長い間維持されてきたわけですから、いかに式年遷宮という行事の価値が評価されているかがわかります。もちろん、それは単にコスト面だけの話ではなく、こうした行事を1300年の長きにわたり世代を超えて受け継いできた、持続可能性のマネジメント力には、企業のサステナビリティを考える際にも学ぶことが非常に多いのではないでしょうか?