クライアントと制作会社間でよくある会話
普段サイト制作の現場に携わっていると、こんな光景をよく目にします。
クライアント:わたしたちのサービスは年輩から若者まで、広い層をターゲットにしています。だからサイトもいろんな 人たちに見てほしいんです。
制作会社:なるほど。ではその中でも、特にメインとするターゲットはどんな人たちですか?
クライアント:ターゲットは特定しません。今は年輩の人が多いのでその人たちもターゲットですし、若い人たちにももっと自社のサービスを知ってほしいと思っています。
制作会社:なるほど…
制作に携わる身として、クライアントの「自社のサービスを広い層に訴求したい」という思いも非常によくわかりますが、一方で全方位型のサイト、サービスほど結局どのターゲットにも届きにくいという現実もあります。
また、ターゲットのユーザー像が明確でないと、そのサイトのユーザビリティにも影響が出てきてしまいます。近年「ユーザー指向」「ユーザーオリエンテッド」という言葉をWeb制作の現場で耳にするのも珍しいことではないですが、それがWebの制作において具体的にどのようなことを指すのかについては、まだそのレベル感はまちまちというのが現状ではないでしょうか。
ペルソナ/シナリオ法とは?
一般的に「ユーザビリティ」と言われている観点はユーザーの使いやすさを計るための指標ですが、個々のサイトにとっては、ターゲットとする人物像によってどの程度それを実現すべきかが変わってくるはずです。
例えば極端な例では、ユーザビリティの指標としてよく挙げられる「ページ内の文章のわかりやすさ」について。携帯電話の新製品の紹介ページにおいて、その携帯電話が高齢者をターゲットにしているのであれば、説明文にはなるべくカタカナ語を使用しないなどという配慮をする必要がありますが、20代をターゲットにしているのであれば、逆にカタカナ語を多用した方が効果的な場合もあります。
このように、設定するユーザー像によって、デザインだけでなく、ページ構成、文章、画像にいたるまで、制作するWebサイトは影響を受けてしまいます。しかし、では実際にターゲットとするユーザー像を設定しようとしても、効果的に設定するのはなかなか簡単ではありません。
そこで登場するのが、ユーザー像を明確にし(=ペルソナ設定)、そこからWebサイトに必要な要件・機能などを洗い出していく「ペルソナ/シナリオ法」という手法なのです。