個人が分析できる状態へ
2008年から現在までの最終段階では、3点目の“個人が分析できる状態”への施策のため、さらに細かなデータを使い、社内勉強会を始めている。東氏は「アクセス解析ツールを使って『どうやって分析するのか』『得た情報をいかに活かすのか』を教えていきました。これは笑われるかもしれませんが、徹底して学習するために、問題集も作りました。こうしてみんなが同じ目線で分析できる土壌ができあがっていったのです」と話した。
業務改善の成果と、分析において忘れてはならないこと
このように、2005年から取り組んできた業務改善の結果、「従業員はここ数年増加していないにもかかわらず、開発してリリースするボリュームが非常に増え、1人当たりの生産性が向上しました。売上については、2007年は教育に注力したこともあって下がったものの、2008年には大幅に改善することができ、第三者機関からは同じようなジャンルのサイトの中で、『顧客満足度ナンバー1』の称号をいただけた」と、成果を示し最後にデータ分析の注意点について語りセッションを締めくくった。
「データ分析を続けて慣れてくると、嵌ってしまう罠があります。サイトの先にいるのが人だということをついつい忘れてしまうのです。ですから、分析を始める前に『ユーザーになった気持ちでやっているか』を忘れないように、と組織の中で統一しています。これは本当に簡単な例なんですが、例えば宿泊予約ということで、迷って迷って宿泊予約したばかりのユーザーに『こんな宿泊施設どうですか』という内容のメールが届くのはユーザーにとっては不親切に当たります。我々は組織的な取り組みを通じて、数字という武器を使いながら旅行者の方がハッピーになるようなサイトを目指していきたいと思います」
データ解析という数字を使って、組織と顧客という“人”に良い影響を与えた好例と言える。
