現状理解とフレームワーク作成
ソーシャルメディアを活用したマーケティングを推進するにあたって、熊村氏がまず行ったことはソーシャルメディアマーケティングの現状を理解することだったという。
「マーケティングの世界では何かバズワードが生まれると、それがすべてを解決してしまうという雰囲気になることがあります。ソーシャルメディアマーケティングがバズワードとなりつつあり、ソーシャルメディアマーケティングを行えば売上がアップする、エンゲージメントが高まるといった『神話』を『白紙』にすることが必要だと思っていました」(熊村氏)
熊村氏はソーシャルメディアの現状を理解するために、第3者の意見にできるだけ耳を傾けたようだ。その中で、ソーシャルメディアを活用したマーケティングを行うためには、ソーシャルメディアマーケティングを行うためのフレームワークが必要だという結論に辿りついた。そして、フレームワークの作成を外部パートナーとともに進めていったという。
「ある程度の企業規模で、ソーシャルメディアマーケティングを行うには、社員それぞれのソーシャルメディアへのリテラシーを平準化しなければならないと考えていました。そのためにフレームワークが必要だと考え、ソーシャルメディアマーケティングに対する理解が深いトライバルメディアハウスさんと一緒に作成することにしました。フレームワークにはソーシャルメディアマーケティングを行う際の基本的な作法・心得をまとめているのですが、成功事例の紹介はそれほど盛り込みませんでした。通常はまずは成功事例を真似しましょう、という話になりがちですがソーシャルメディアマーケティングの場合は、部門・商品・ターゲットの属性によってやり方が変わるので、真似することに意味はないと思ったからです」(熊村氏)
この「フレームワーク」は昨年の後半に完成。フレームワークを教材にソーシャルメディアへの理解を促進させるための社内セミナーも開催しているという。セミナーへの参加者の反応も上々だ。
「セミナーでは、ソーシャルメディアとは何か、ソーシャルメディアマーケティングとはどういう活動か、という本当に基本的なことを講義形式でレクチャーしています。回を重ねるごとに、参加者のソーシャルメディアマーケティングへの理解が底上げされていくのがわかります。別途独自の単位でワークショップを行ったりする動きもでてきています」(熊村氏)