アクセス解析ツールを無料で提供した理由は?
オーリック・システムズは、Webサーバーにアクセスしてくるデータを直接取得して解析する“パケットキャプチャ方式”を採用したアクセス解析ツール「RTmetrics」を提供している企業だ。RTmetricsは既に、サントリーや価格.comなど多くの大手サイトに採用されている実績の高いツールだが、一方で専用のシステムを導入する必要があるため、導入コストが高額となっている。
そこで同社は2008年、「myRTモバイル」というサービスを開始した。これはRTmetricsの技術を元にしたモバイルサイト向けアクセス解析ツールで、無料で利用できるというのが大きな特徴だ。最近では「Google Analytics」がモバイルにも対応するなど、モバイル向け無料解析ツールの数も増加しており、従来“高額で敷居が高い”とされてきたモバイルでのアクセス解析の敷居も、大きく下がっている。ちなみにmyRTモバイルは現在、2500の法人・個人に利用されており、解析対象サイトは7600を越えるという状況のようだ。
伊藤氏によると、myRTモバイルの提供に踏み切ったのには、モバイルにおいてもアクセス解析の重要性を認知してもらいたいという要因が大きかったという。そもそもアクセス解析は、広告などのように投資すれば直接売り上げが増えるというものではない。その上、かつてモバイル向けアクセス解析ツールといえばRTmetricsのように高額なツールしか存在しなかったので、アクセス解析に投資する価値を見出しにくかったという。
最近ではCMSの低価格化によってサイト開設の敷居が下がり、低価格でモバイルECサイトを立ち上げたり、無料でモバイルサイトを用意したりできるようになっていることから、ITリテラシーが必ずしも高いとは限らないサイト運営者も増えている。そうしたことから、モバイルのアクセス解析における敷居を下げ、普及につなげるためにも、無料でmyRTモバイルを投入したのだそうだ。