本格化するアクセス解析のビジネス活用
アクセス解析サミット2010は、アクセス解析イニシアチブと川崎市産業振興財団共催のビジネスカンファレンス。アクセス解析を中心としたウェブ最適化の事例やテクニックなどに関する8つの講演が設けられ、有料セミナーにも関わらず、会場は満席となった。
会場は基調講演から満席。会場4階に設けられた休憩スペースからもセッションを聴講することができた。また、休憩スペースでは、参加者同士が積極的に交流する姿が多く見受けられ、各企業がアクセス解析に本格的に取り組み始めている様子がうかがえた。
楽天が半年間で40以上のサイトにアクセス解析ツールを導入した理由
基調講演では、楽天 取締役常務執行役員 鈴木尚氏が登壇。昨年、半年間でグループ全サイトにアクセス解析ツールをフルカスタマイズベースで導入した背景とその成果、同社の今後の方向性について紹介した。
楽天では、グループ全体で保有する約6400万人の会員データベースを軸としたワンストップの循環型インターネットサービスを「楽天経済圏」と呼んでいる。その国内流通総額は1.1兆円にのぼり、グループ内のサイト数は40以上、測定コール数は月に75億(※PVとは異なる)という、巨大サイト群へと成長している。
以前は、各サイトが個別にアクセス解析を行っていたが、楽天経済圏全体としての効果測定の必要性や改善サイクルの短縮などを目的に、2009年に全サイトへ「SiteCatalyst」を導入、契約を一元化した。また、併せて各サービスや事業部間を横断する「アクセス解析・最適化推進チーム」を組織し、全体最適化、組織の啓蒙などを進めている。さらに、昨年3QからはA/Bテストや多変量テストを支援するツール「Test & Target」も導入するなど、最適化への体制を随時整えていっているという。
こうした取り組みの結果、現在では、ドメインをまたぎ楽天経済圏全体でどのようにユーザーが動いているかが把握できるようになっている。ECだけでなく、生命保険などさまざまな事業形態を持つグループが、全体でアクセス解析に取り組んでいる例は、世界でも稀だという。