電車の中や少し時間が余った時などに携帯端末を利用してWebサイトにアクセスする光景が一般的になってきました。この携帯端末を利用したWebサイトへのアクセス状況を解析することをモバイルアクセス解析といいます。この説明だけだとPCを利用したWebサイトへのアクセス解析と変わりありませんが、モバイルアクセスの世界にはさまざまな制限があり、モバイルアクセス解析の利用方法に特徴があるため、単純にPC版Webアクセス解析を導入することができません。この点が重要になります。モバイルアクセス解析の基本的な特徴を大きく2つに分けて説明します(下図)。

ひとつ目の特徴は、携帯キャリア仕様のような制限がモバイルアクセス解析に影響を与えているというものです。モバイル向けWebサイトには、携帯キャリアの認可を得た公式サイトと、キャリアの認可を取らずに携帯端末用に運営しているWebサイト(「勝手サイト」などと呼ばれるサイト)に分けることができます。
図中の①にあるように公式サイトと勝手サイトではモバイルアクセス解析で取得できる情報が異なります(蛇足ですが、PCの世界では、ほぼ100%勝手サイトで構成されています)。さらに、携帯キャリアごとにユニークユーザの情報などを取得する手段が異なったり、取得できる情報が異なったりします(図中②)。これらの特徴はモバイルアクセスサービスを開発する側に大きな負荷となっています。
モバイルアクセス解析のもうひとつの特徴は、モバイルアクセス解析にしかない分析や利用方法があるということです。ここでは例を2つ紹介します。1つ目の例は、端末の属性分析とキャリア属性分析で、顧客層の特徴(顧客セグメント)がわかるため、モバイルサイトで用意するサービス(コンテンツ)やサイト作りに直接反映していくことが基本となります(図中③)。
2つ目の例は、モバイルサイトのサービスに特有の「コンテンツ寿命が短く、コンテンツを用意するだけで他のことをやる余裕がない」という事情に訴求できる仕組みを提供しなければならないということです。これには、上に述べました『マーケティング活動支援型利用方法』を利用することにより、一部のキーマンにしか判断できなかったコンテンツ選びや事業戦略を他の人でもできるようになり、コンテンツ作りにかかるコストも軽減していけるようになるというものです(図中④)。
今、モバイルアクセス解析が注目される理由
ではなぜ、モバイルを利用したWebサイトへのアクセス解析が注目されるのでしょうか? 携帯端末を利用した文字入力に慣れた(F0,F1,M0,M1)層を中心に、携帯端末上で検索エンジンが積極的に利用され始めたため、勝手サイトにアクセスが集まりだしたことが理由のひとつにあげられます。また、電通によると、2006年のモバイル広告市場は、成長率35.4%、市場規模390億円に成長したとのことです。この動きは、前ページの図「Webアクセス解析が果たす役割」で説明したように、モバイルアクセス解析が企業活動にとって、重要になっていくことを示唆しています。
まだ未知の分野である、モバイルアクセス解析ですが、可能性は非常に大きいといえるでしょう。次回もモバイルアクセス解析の裏事情についてお話をしていきます。お楽しみに!
