mixiの考える「ソーシャルグラフ」とは
そもそも「ソーシャルグラフ」という言葉は、、Brad Fitzpatrick氏(現Google)が2007年に提唱したコンセプトと言われ、世界で約6億人のユーザーを誇る米FacebookのCEO Mark Zuckerberg氏が、その年のカンファレンスで発表したのをきっかけに認知されはじめたと言われる。一般的には、SNS上で登録された個人情報や、各人のSNS内でのアクションの積み重ねによって生み出された『人間関係の相関図』であると考えられている。
「最近、mixiはFacebookと比較されることがよくある。実名主義についての意見を求められるが、mixiが重視しているのは実名かどうかではなく、“リアルな人間関係か”という点である。mixiにおけるソーシャルグラフの中身は、リアルな友人・知人同士で構成されており、全2,200万アカウントの平均マイミク数は27名、アクティブユーザーに限ると約40名のマイミクとmixi上で繋がっていることが分かっている」と、新田氏は語る。確かに、Facebookの友達(フレンド)数の平均は130名と言われ、特に日本人のアカウントでは、友達数が1,000人を越えるユーザーを頻繁に見かけることがある。そのソーシャルグラフの密度・濃度の差は、明白だと言えるだろう。
また、mixiの2010年度第3四半期の業績発表で公開された資料によると、mixiの「コミュニケーション投稿数(mixiのコミュニケーション機能:ボイス・日記・フォト・カレンダー・チェック・チェックイン・イイネ!ボタンの投稿数及び各機能のフィードバック(コメント・イイネ!)数)」の総計が、2011年1月に6億投稿を突破し、前年同時期の約6倍にまで増加したとされていることも興味深い。
「mixiは、リアルな友人・知人の繋がりが基盤の上に成り立っているということを大切にしている。単なるアカウント数は重要ではない。ソーシャルグラフを強く意識して、ユーザーが楽しんでもらえるようなコミュニケーションの仕掛けを、企画として投げかけることに注力していく」(新田氏)
企業のマーケティング活動にmixiのソーシャルグラフが提供できるものとは
mixiは昨年9月に、過去最大のカンファレンス『mixi meetup 2010 -Social Leaders Conference-』を開催し、外部パートナーに対するソーシャルグラフの公開を発表した。「これは、外部のサイトからでも、mixi上の友人・知人に情報を共有しやすくなったり、その場で『つぶやき』などを投稿できるようにしたもので、この機能を、自社サイトにうまく組み込むことができれば、従来のぺイドメディアでリーチできなかった、『一次接触者』の先にいる友人・知人まで、その効果を行き渡らせられることができる。うまく設計できれば、ペイドメディアの費用を抑えた効果的なプロモーションも可能だ」と新田氏は語る。
そうしたソーシャルグラフがもたらす影響力を数値で実証したのが、昨年12月1日から実施された『mixi Xmas 2010』というクリスマスキャンペーンだ。このキャンペーンはmixiアプリを活用したもので、2009年に続き2度目の開催となる。「ユーザーに楽しんでもらうにはどうすればいいのか」を主眼にmixiが企画・設計を担当。賛同する協賛企業を募り、多数のプレゼントがユーザーに提供された。クリスマスまでの24日間で約267万人という驚異のアプリ登録者数を叩き出したキャンペーン成功の裏側には、どんな仕掛けが散りばめられていたのか。この事例をもとに、ソーシャルグラフを最大限に活かすためのキーポイントを探っていく。