目的のないリサーチは「諸刃の剣」
少々古いデータですが、2003年に大同生命が発表した『中小企業経営者1万人アンケート』で、経営者が実際に欲しいと願っているアドバイス・情報の1位は「経営」、2位はなんと「消費者ニーズ」だったそうです。それぞれの分野で実績のある企業でも、実は消費者(潜在顧客)層は決して正しく認識はされていないということなのでしょう。
そのためもあって、世上には「市場調査(マーケットリサーチ)」があふれています。しかしこのLFWがユニークな理由は、「マーケットがあるかないか」ではなく、具体的なユーザー像を絞り込み、「行かせたい方向」へのDrive施策が方向付けられることなのです。
換言すれば、戦略も目的もターゲット像も明確ではない状態で行うLFWには意味がなく、見つけ出したいユーザー像はどのようなものか、彼らを最終的に導きたいポジション(アドレス)はどこなのか、どのくらいの量または割合をDriveさせたいのかを考えたうえで施行しなければならないということです。
LFWは3軸(心情軸、深度軸、行動軸)を持っています。各々の項目で効率的にプロットを判定する設問を設定するためには、前述の理想のユーザー像やポジションを戦略的に定めておくことが必須の条件であることは、もう読者の皆さまにはおわかりでしょう。
現在のLFWは、ある意味で特定市場の立体的調査・分析手法といえなくもありません。現在は、ここから目的へDriveさせるための機能はケースバイケースで企画・施行されるようになっています(企業によってニーズも目的もさまざまですから)。
今後はこの基本機能に、目的へDriveさせるための具体的手法が加味されることになるでしょう。なお、今回紹介の事例で使用した数値は架空のもので実際とは異なります。もし、今回ご紹介したLFW1.0やその事例に興味がありましたら、ぜひ電通ワンダーマンのホームページからお問い合せください。
さて、2回に渡ってLFWを紹介してきました。「何か、DRMとは違うような気がする」と思われた方が少し増えたかもしれません。一方で、昨今のテクノロジーの進化は、伝統的なDRMにもいろいろと新しい波を起こしているのです。そこで次回からは、DRMやDBMに対向するように現れてきた新しい概念であるCGMやWOMとの関係を検証していくことにしましょう。