どう対応すべき?数ある選択肢の中から答えを見つけるには
スモールスタートするにせよ、様々な選択肢が存在するマルチデバイス対応には、具体的にどこから手を付けていけばいいのだろうか。その答えを導き出すヒントとして、石井氏は、まず一般的な指標を3つ提示した。
1 デバイス特性とスマートフォン・タブレット端末の位置づけ

デバイス別に、画面サイズ・表現力・機種依存・検索性・携帯性という5つの機能面で比較してみたところ、スマートフォンと携帯電話の大きな相違点として、「表現力」の高さが挙げられる。
「今後、広く普及していくにつれ、大きく変化する可能性が高いが、現在のところ、スマートフォンは表現力の高い携帯電話としての位置づけと言える。表現力が必要なサイトは、早いうちにスマートフォン対応した方がいい」(石井氏)
2 iPhoneユーザーの特性

日経BPコンサルティングの調査結果から、iPhoneユーザーは平均年齢が高めで、男性が圧倒的に多いことがわかった。『男性、女性ともに、自分の考え方や価値観を重視し、周りの人とは違うものを購入する傾向がある』という結果も興味深い。
iPhone対応を検討した方がいいサイトは、男性向け・年齢層高めなユーザーをターゲットとしている個性派ブランドと言えそうだ。別の角度から見れば、最も比率の高い30代女性をターゲットとした商品であれば、iPhoneアプリにAdMobなどを使って広告を出稿する、というのも効果的かもしれない。
3 デバイス別利用シーンの比較

これはデバイス別に、利用シーンについてアンケートを取った結果である。スマートフォンが得意とする利用シーンは、「コミュニケーション(メール・通話)をするとき」や外出先・移動中であることがわかるが、プライベート編に注目して「購入検討している商品を探すとき」の項目を見ると、パソコンを使うユーザーが突出していることから、今のところ、スマートフォンでは実際に商品を購入するところまでは至っていない傾向があるのではないかと言える。
コンバージョン数だけを見ていたら、なかなかスマートフォン対応に踏み切ることはできないだろう。しかし、外出先でスマートフォンを使って見た情報を、あらためて家に帰ってからパソコンで検索して購入する、というパターンも想定できるため、注意が必要だ。
アクセスログに見られる利用傾向の違い
次に、ヴィレッジヴァンガードオンラインのデータを元に、デバイス別の傾向を見てみる。

スマートフォン・タブレット端末の特徴として、TwitterやFacebookといったSNS系サイトからの流入が多く、閲覧は特定のコンテンツに集中していることがわかった。従来のPCサイトでは、メルマガやブックマークからの流入が多いことから見ても、スマートフォン・タブレット端末においては、独自の利用傾向があると言える。
さらに流入口が全く異なることが起因して、その後のサイト内の行動でも新たな特徴が見られた。TwitterやFacebookで提供したリンクから飛んでくるので、訪問頻度が多く、再訪問までの間隔が高い。けれども、直帰率は高く、滞在時間も短いという、ネガティブな側面も見受けられたのだという。
「良くなっている指標と悪くなっている指標があるため、何に着目すればいいのかわからなくなる。まずはアクセスログから閲覧が集中しているコンテンツを見つけ出し、そこから独自の利用傾向を把握し対応を進めていくことをお勧めする」と、石井氏はアドバイスをした。
「ランキング」と「特集」のコンテンツをスマートフォン対応させた。
さらに、Twitterのフォローリンクも目立つ所に配置している
