Ch00/AKQA独占インタビュー(一部抜粋)
AKQAをご存知だろうか。彼らは2006年にイギリスの「Revolution Magazine」とアメリカの「Creativity Magazine」で、2007年にはアメリカの「OMMA Magazine」で「Agency of the Year」を獲得している。また、「Revolution Magazine」からは「Agency of the Decade」も獲得した。彼らが評価されているのはなぜか。同社のRei Inamoto氏にインタビューを試みた。
インタビューイプロフィール
AKQA/1995年創業の独立系インタラクティブエージェンシー。「アイデア」を大切にオンライン、オフラインを通して次世代型の広告コミュニケーションを手掛ける。
Rei Inamoto/ いなもと れい(クリエイティブディレクター/アートディレクター)
東京生れ。高校からヨーロッパに留学。大学はアメリカのミシガン大学で美術とコンピューター・サイエンスの同時専攻、好成績で卒業。1996年タナカノリユキのもとで活動開始。1997年からニューヨーク在住。2004年10月からAKQAにグローバル・クリエイティブディレクターとして関わる。2006年に行われたインタラクティブ・クリエイティブ・ランキングで、世界トップ5に選出。現在、グラフィックデザイン、インターネット、広告、インスタレーション等の幅広い分野でアートディレクション/クリエイティブディレクションを行う。2007年ニューヨーク・アートディレクターズクラブ審査委員長、カンヌ国際サイバーライオン祭金賞、銀賞、銅賞、など審査歴、受賞歴多数。
まず「アイデア」ありき
ADK
まず、AKQAとReiさんご自身を紹介していただけますか。
Rei氏
はい。AKQAは独立系のインタラクティブエージェンシーです。現在のチェアマンであるAjaz Ahmedが、1995年にロンドンでAKQAを創業しました。その後、現在のCEOであるTom Bedecarreの会社と合併して、2001年に現在のAKQAが誕生しました。本社はサンフランシスコですが、ニューヨーク、ワシントンDC、ロンドン、上海、アムステルダムにもオフィスがあります。インタラクティブ領域のビジネス中心ですが、「アイデア」を大切にする会社です。まずはアイデアを発想することが肝心で、それからそのアイデアを、いかにインタラクティブやデジタルの力を借りて、消費者にコミュニケーションできるかを検討します。
ADK
インタラクティブ以外のメディアで、解決すべきアイデアが思いついてしまうことはないのですか。
Rei氏
あります。例えばフィルムが必要だとか。うちはエージェンシーなので、そういうときは適切な制作チームを組んでクライアントの課題に応えます。
ADK
主要なクライアントは。
Rei氏
コカコーラ、ナイキ、XBOX、マイクロソフト、VISAなどです。最近、マクドナルド、ジョニーウォーカー、スミノフもクライアントになりました。地域にとらわれず、グローバルな仕事が多いです。ヨーロッパにおいては、ユニリーバ、フィアット、スカイTVとか。イエローページのオンライン版であるYell.comとは、インタラクティブとオフラインの両方の仕事をしています。
ADK
では、Webサイト「coca-cola.com」はAKQAが手がけているのですか。
Rei氏
はい。「Sprite」の「Sublymonal」キャンペーンも、オンライン施策はAKQAによるものです。
ADK
そうですか。あれは注目していました。ところで、インタラクティブエージェンシーと呼ばれる会社はいくつかありますが、AKQAの特長は何ですか。
Rei氏
先日「Top 10 agencies」のような何かの資料を見ていたら、10社のうち1社、AKQAだけがインタラクティブエージェンシーでした。数年前までは、インタラクティブエージェンシーと一般の広告会社が明確に区分されていたのですが、その線引きがなくなってきたなと思います。これは5年前に理想と言われていたことですが、ようやく現実になってきたわけです。
ADK
なるほど。
Rei氏
私はR/GAにもいたことがあるのですが、AKQAの強みは何といっても「アイデア」にこだわるところです。テクノロジーから入っていくのでなく、まずアイデアを追求して、そこからテクノロジーを選択します。テクノロジーにとらわれず、コンセプトを大切にするということです。