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[Webアナリスト対談]清水 誠×小川 卓

清水 誠×小川 卓、Webアナリスト対談【後編】
オンラインとオフラインを分けない時代が来る


後編は、ソーシャル分析、有償のGoogleアナリティクス Premiumの話から、アクセス解析の未来、アクセス解析者はどうあるべきかに話題が移っていきます。ふたりの対話もいよいよクライマックス! 前編・中編はこちら!

今回お話をうかがったのは…
Adobe Systems Incorporated,  International Program Manager
清水 誠さん
1971年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、WebコンサルティングやIA・UI設計に従事した後、事業会社側でアジャイル開発やCMS導入を含むプロセス改善ににこだわり18年、UXから開発、マーケまで幅広く経験&開拓。組織の内側からのプロセス改善とソリューション導入を得意とする。2008年に楽天に加わり、アクセス解析の全社展開を行った。2011年にFA宣言し、2011年9月から米国ユタ州の米Adobe Systemsに勤務。日米を行き来しながら研究と実践、執筆と講演を続けている。SiteCatalystユーザー会「eVar7」前代表。サンクトガーレン社外CMO。ブログ「実践CMS*IA」「実践★SiteCatalyst

株式会社 リクルート 住宅カンパニー SUUMOネット推進室 Webアナリスト
小川 卓さん
1978年横浜生まれ。在米・在英10年。ロンドン大学(UCL)卒業・早稲田大学大学院卒業。リクルートで、全社アクセス解析システムの導入・運用・サポート・教育を担当。2011年より住宅情報サイト「SUUMO」のWebアナリスト。そのかたわら、日本全国で「出前セミナー」を行っている。著書『入門 ウェブ分析論 ― アクセス解析を成果につなげるための新・基礎知識 増補改訂版』(ソフトバンククリエイティブ)。2012年6月、SiteCatalystユーザー会「eVar7」の新代表に就任。ブログ「リアルアクセス解析

コンバージョンしないからといって、手を抜いていいわけじゃない

押久保:ここまで、あまりソーシャル系の話が出てきませんでしたが、ソーシャルについてはどうでしょう。

清水:「eMetrics San Francisco」でも、ソーシャル系のセッションは少なかったです。

小川:データソースの一種でしょうね。「いいね!」数やリツイート数を見て一喜一憂するのではなく、他の流入施策と同様に今はそこから売上貢献を見ることもできます。だからといって、ソーシャルメディア上の活動を変えるべきかというと、変えるべきじゃないと思っているんです。ブランド認知やサポートの中で活用すべきものであって、集客のひとつとして考えるとソーシャルメディアの価値を見誤ってしまうと強く感じます。それは自社アカウントまたは自社に関する「声」も同じです。

清水:コンバージョンしないからといって、手を抜いていいってわけじゃないですよね。

小川:そうです。より長い目で効いてくるから分析の観点からするとなかなか難しいんですけど、ものすごく重要性がある。そこをあえて数値化するか否かは、ソーシャルメディアのアカウントの目的次第ですね。データが取得できるからなんでも出すのではなく、目的にあった数値および定性情報を出すことが大切です。

清水:あとはカスタマーサポート系ですね。

小川:サポートが可視化されるのは大事ですよね。たぶん、ソーシャルの効果を「流入」で考えちゃうとダメなんですよ。サイト規模が大きければ大きいほど、ソーシャルの流入割合は少ない。大きい企業はもともとソーシャル以外のところでずっと集客をやってるので、新たにソーシャルが入ってきたからって、いきなり流入30%だ50%だって取れない。そういうのを期待しちゃいけないんだろうなと。

清水:ソーシャルは、長期的に見てどれくらい貢献してるのかの把握が大事ですね。訪問を超えたアトリビューションは必須。

ソーシャルと連動したSUUMOキャンペーンの場合

小川:去年、SUUMOでテレビCMとソーシャルを連動させたキャンペーンを行いました。新しいキャラクター「ドンスーモ」を登場させ、専用サイトへの誘導を行いました。サイト上でTwitterやFacebookと連動させたコンテンツを提供し、その量に応じて「ドンスーモ」の野望が達成されるという内容でした。

 事前にわかってはいたのですが、訪問した人がそのままSUUMOのサイトで資料請求してくれる数はやはりそれほど高くなかった。テレビCMにかかった費用で割り返すと、1コンバージョンあたりものすごい金額になってしまう。

 でも、そのあと分析してわかったのは、そのキャンペーンでSUUMOに来た人は月ごとの残存率が高いこと。サイト全体で、ある月に来た人が次の月に来てくれる割合は、徐々に減っていく傾向にあるわけですが、その人たちは高いレベルで残っていたんです。

清水:セグメント分けて、長期の行動を追跡する、と。

小川:ええ。専用のサブサイトつくってたんで、それでいったんドメイン切って、ユーザーを分析してみました。該当ドメインを閲覧した人が、数か月・半年後にどれくらい残存しているかをチェックしたら、その割合が1月、2月、3月に1回上がったんですね。そこはうちのサイトのピークのシーズンなんですけど、キャンペーンサイトに触れた人がSUUMOをおぼえていて来てくれたのかなぁと。そのサイトに触れた人のコンバージョンの数字も出せましたし。

清水:それはすごいじゃないですか。すごくいいデータですよね。つまり「やった意味があった」という数字が取れたってことですよね。

小川:そうですね。もちろんそれが主目的かっていうと必ずしもそうではないんですけど、やっぱり数字として出るっていうこと自体に意味があるんだろうなと。

清水:数字が出ると現場が正当に評価され、経営判断もまともになってよいことだらけですよね。ソーシャル系の効果測定は、いろんなツールが出て手法も固まってきてます。

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MarkeZine(マーケジン)
2012/10/26 16:39 https://markezine.jp/article/detail/15864

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