SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

刺さらなければ広告じゃない! WebマーケッターのためのDirect Marketing講座

信頼関係作りはダイレクト・コミュニケーションから~結果の出るDRM戦略事例Ⅰ~


徹底的なステイタス区分と情報の最適化

 さて、皆さんはマンションがどのような過程を経て購入されるかご存知でしょうか? 新規建築物件については、そのほとんどが完成前に販売されるものです。ですから、当然販売時には商品そのものが存在しないことになります。そこで、まずモデルルームを作り、そこにチラシや新聞広告、電車の中吊り広告などで集客し、販売員がセールスを行うのが普通です。

 ただし、前ページでも述べたように、近年では同じエリアに同時期に「マンション銀座」のように複数の物件が林立することが多く、販売競争も激化の一途をたどっています。また、顧客ニーズの多様化により、免震構造を採用したり、通信インフラを整備したりするのが当たり前になっていて、建築コストがかさむ、付加価値付けに苦労するなど、「売る」作業も並大抵ではありません。そのため、立派なモデルルームを構えて集客しても、一部の超人気マンションを除いて成約率はさほど高くないのが実情でした。

 ところが、本事例の企業では、なんとモデルルーム来訪者の20%以上が契約しているのです! その秘訣は、モデルルーム来訪者の早期囲い込み(会員化)細やかなケア(情報提供)。会員には、ハイクォリティのマンション案内を送付するだけでなく、個別情報のやり取りも可能な会員専用サイトを解説してコミュニケーションを途絶えさせないなど、さまざまな工夫がなされているのです。さらに、会員未入居者(完成待ちの契約者)入居者と3種類のステイタスを設定し、それぞれに必要な情報を提供するシステムを作り上げました。たとえば、モデルルーム来訪者から会員になったばかりの方には、その物件だけではなく、会員の住所に近い類似物件を推薦するなど、大きな視点から会員をフォローしているのです。

 こういった工夫も、現在では多くのデベロッパーにおいて散見されようになりましたが、同社では業界のパイオニアとしてのアドバンテージは今でもしっかりと握っています。このようなステイタス管理の概念は、元からクライアントにあったものではありません。商品の特性と市場をすり合わせ、潜在顧客を最終的なコンバージョンに持っていくための施策として、電通ワンダーマンが開発したものなのです。

ステイタス区分と施策例

次のページ
紙+デジタル+通信環境=トータルケア

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
刺さらなければ広告じゃない! WebマーケッターのためのDirect Marketing講座連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

杉山 実(スギヤマ ミノル)

株式会社 電通ワンダーマン インタラクティブマーケティング部 シニアプロデューサー。Reader‘s Digestを皮切りに外資系代理店、大手出版社で広告制作とダイレクトマーケティング、企画・編集を担当。コンテンツビジネスのJVなどを多数手掛け、マーケティングとデジタル・ソリューションの間を行き来する。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2007/08/23 14:24 https://markezine.jp/article/detail/1627

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング