ソーシャルを通じてドライブの楽しみを伝える「Drive Link」

そして、今年8月にリリースされたソーシャルムービーアプリが「Drive Link」。撮影した写真をもとに、20種類のデザインテーマやBGMを選択して雰囲気のある動画にまとめ、ドライブしたルートを記録することも可能だ。動画は複数名で協力して作成できるので、友だちや家族が撮影した写真を見て新鮮な気持ちになることも。
山本氏は「ドライブに関心のない方にも、ドライブの楽しさを知ってほしいというコンセプトは変わりませんが、写真や動画に『ソーシャル』が加わった点がこれまでにない新しい部分」と語る。
そのねらいは2つある。ドライブしている車内は、家族や友達とも楽しめるプライベートな空間。「Drive Link」というアプリによって、その思い出をひとつにまとめる手助けをしたいという。

もうひとつは、参加していない友人とも思い出を共有すること。ソーシャルを使った意味がそこにある。「誰かが作ってくれた作品ではなく、みんなでコラボして作るほうが楽しいですよね。みんなで協力して、思い出がつながっていく。アプリの名前の“Drive Link”にはそういう意味もあります。」
作成した動画は「Drive Link」の特設サイトで公開することができる。新着順、人気順でも動画リストを並び替えることができるので、アイデアが詰まった動画や新たなドライブのルートを発見して盛り上がってほしいと語る。
クルマをめぐる状況、これからのマーケティング
“若者のクルマ離れ”が指摘されるなか、毎年異なる切り口でアプリを提供するブリヂストン。その若者のひとりでもある山本氏にクルマをめぐる現状について意見を聞いた。
「友人の話を聞いていると、特に都心部では車をもっている友人が少ないと思いますし、必要なときだけレンタカーを使うという人もいます。クルマ離れといわれる状況が社会的にひろがっているのは事実。その中で、私個人としては、クルマやドライブの楽しさを感じるきっかけ自体が少なくなっていると感じています。しかし、それをストレートに伝えるだけでは響かない。その中でどうアプローチしていこうかと考えたときに、身近なスマートフォンのアプリなど、間接的なところから入っていって、少しでも『ドライブって楽しいな』と感じていただければと思っています。」

今後は、これらの施策の評価を踏まえて試行錯誤していきたいという。最後に、MarkeZine読者へのメッセージとして、山本氏は言葉を選びながらしっかりと次のように語ってくれた。
「マーケティングにかかわっている方々は、何が正しい答えなのかわからないような状況の中で苦労されていると思います。社内で理解を得ること、予算の問題、本業にどう結び付けていくのかなど試行錯誤が必要です。私個人が考えるマーケティングは、お客様の目線で何が求められているのか、また企業側は何を伝えたいのかを考えること。それらがぶつかりあって、どこで合致するのかを見極めてやっていくものなのだと思っています。読者の皆さんも試行錯誤されていると思いますので、一緒にがんばっていきたいですね。」