リターゲティング広告とタグ
前回は、Google アナリティクス リマーケティング登場の背景と意味について解説しました、今回は機能面でのメリットと注意点についてご紹介します。
Googleのリマーケティング広告は、Google AdWordsでも実施可能ですが、リマーケティングの可能性、効果を拡大し、使いやすくしたものが「Google アナリティクス リマーケティング」です。「リマーケティング」は、Googleのリターゲティング広告のサービス名称です。一般的には、「リターゲティング広告」と呼ばれる広告のGoogle版とお考えください。
特定のサイト(通常は広告主のサイト)に訪問したユーザーに対し、リターゲティング用のクッキーを発行します。このクッキーの発行にタグの設置が必要となります。 クッキーを発行されたユーザーが、リターゲティングが有効な広告ネットワークのウェブサイトにアクセスした際、広告を表示して、広告主のサイトへ再訪問することを促す広告が「リターゲティング広告」です。
また、クッキーにはユーザーの行動履歴の一部を保持させることができます。この行動履歴をもとに広告の内容を適切なものに出し分けできる点がリターゲティング広告の特徴です。その場合、ユーザーをある程度同じ行動パターンごとにグループ分けし、リスト化することが必要です。
Google AdWordsや、その他のウェブ広告でリマーケティングを実施するには、まず広告の対象となるユーザーを捕捉してリスト化する必要があります。そしてそのためには、ウェブサイトのHTMLソースへ、リマーケティング専用のタグ(コード)の設置、つまりウェブサイトの修正作業が発生します。
このタグ設置には2つの課題があります。詳しく説明しましょう。
課題1 「タグの設置作業工数」
まずひとつめの課題は、タグの設置作業です。
社内でウェブサイト制作チームとウェブマーケティングチームに分かれている場合、アクセス解析、ウェブ広告に必要となるタグ(アクセス解析タグ、コンバージョンタグ、リマーケティングタグ)を設置する際に、2つのチームの間で設置指示、テスト実施についてのやりとりや、スケジュール調整が発生します。
制作チーム側にタグ設置作業が発生するだけでなく、その他のシステムが絡むウェブサイトの場合、制作チームとマーケティングチーム、システム部という三者間の調整が発生し、作業そのものだけでなく、調整の工数までもが発生することとなります。
またコスト面を見ると、タグを設置するだけで、サイト制作側で数万円、システムが絡む場合は、数十万~数百万円の工数を必要とする場合もあります。ウェブマーケティングの世界は、1クリック数円でアクセスやコンバージョンを獲得しようとせめぎ合う世界です。もちろん、月間数千万円をかけてウェブ広告を実施する業態もありますが、多くの企業では、月間数十万~数百万円のウェブ広告をクリック単価数十円でいかに多く獲得するかに知恵を絞り、コンバージョンの「0.x数%」の向上を競い合っているはずです。
ウェブ広告の開始準備に費用がかかっていれば、実際の広告にかけられる費用が限られてきます。できる限り、タグの設置に関して工数がかからないようにしたいというのが、ウェブ広告のタグ設置に関する1つ目の課題です。