なぜ自社メディアを持つべきなのか、まずは突き詰めることから
コミュニケーションアプリ「LINE」、キュレーションメディア「NAVERまとめ」などの新しい形のサービスが好評を博しているNHN Japan。これらの仕組みづくりに携わっているのが、同社執行役員で広告事業グループ長の田端信太郎氏だ。田端氏はこれまで、リクルートにてフリーペーパーおよびWebメディア「R25」の立ち上げ、ライブドアにて「BLOGOS」などの立ち上げ、出版社のコンデナスト・ジャパンにて「VOGUE」はじめ雑誌のデジタル化に携わってきた。
いくつもの新メディアを開設し、現在オンラインサービスを通して広告事業を展開する立場から、田端氏は企業に向けてオウンドメディアの可能性を呈する。何も企画性のあるWebサイトをゼロから立ち上げなくても、今はブログからTwitterやLINEのようなコミュニケーションサービスまで、お金のかからないものも含めて非常にたくさんのツールがある。「マルチデバイスとソーシャルの掛け合わせで、複合的なメディア展開も容易になっている」と田端氏は語る。
しかし一方で、「ツールはあくまでツールに過ぎない」と指摘する。「流行っているから、競合が着手しているからという理由があるのも現実だが、そもそもなぜ企業が自分のメディアを持つべきなのかを考えることが、結局は成果につながる。技術的な環境が整った今だからこそ、マーケティングの成果をさらに得るために必要なものを見極める必要がある」
生活者が情報を瞬時に判断する3つの基準
ツールが充実したことで、自社メディアを通じてコンテンツを発信することは現在ではどの企業も物理的には可能だ。しかし、接触したいターゲットに見てもらえなければ意味を成さない。かたや生活者の状況はというと、総務省の調査によるとこの8年間でインターネット上の情報量が70倍にもなる一方、そのうちで一人の人が消費できる量はさほど変わっていない。