デジタルマーケティングが持つ最大の優位性は費用対効果が測れる点
各領域での分析や解析技術の進化とその環境が整ってきたことにより、ブーズ・アンド・カンパニー株式会社の岸本義之氏が2009年に執筆した『メディア・マーケティング進化論』(岸本義之著,PHP研究所,2009/9/17)内で提唱されている、テレビ広告投資から実売までのパーチャスファネル分析が実際に各企業で運用できる環境にもなってきている。
デジタルメディアを活用したマーケティングが持つ最大の優位性は、各デジタルコンテンツを集約できる点、いわゆる情報集積機能にある。オフラインメディアを含め、デジタルメディアは、唯一メディア企業以外の企業が運営元となれるメディアであり、結果、コミュニケーション目的でのマーケティングにおいても、費用対効果を測ることが可能となる。
(出典:『メディア・マーケティング進化論』岸本義之著,PHP研究所, 2009/9/17)

リサーチ(調査)以外の手法=オウンドメディアでの計測により、キャンペーンごとのアウェアネスから購買までの相関が図りやすくなってきた
一方、私自身これまでコミュニケーション目的のマーケティングを多数経験をしてきたが、デジタル上でさまざまなデータが収集可能となった今、どの項目を計測することで企業の商品拡販やコミュニケーション戦略への寄与度を可視化することができるのか、明確な答えはなかった。
その理由は、企業や商品によってデジタルマーケティングを行う際に計測したいデータがさまざまであり、規格統一することが難しく、またその領域を担当する内外部の人材も多くなかったことが一因である。
『ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略』(鈴木良介著,翔泳社, 2011/11/9)で書かれている第1の壁、第2の壁という言葉を借りるのならば、第2の壁に対しての解が各企業内で出ていなかったために、そこが宝の山であっても手が出せなかったということだと推測できる。
ただ現在、各企業は第2の壁も乗り越えつつあり、ブランドサイトやコーポレートサイトでのマーケティング目的を明確にし、データ活用をはじめている。第2の壁を乗り越えられつつあるということが、日本のデジタルマーケティングの更なる進歩を推し進めている状況と言えるだろう。
(出典:『ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略』,
鈴木良介著,翔泳社, 2011/11/9

さらに、マーケティング領域においてもビッグデータ活用という言葉を耳にするようになったが、その理由も先程の説明と同じであり、デジタルマーケティングで行なわれるべきコミュニケーションと計測すべきデータがコミュニケーションごとで明確になったことが大きいと思われる。