SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

Owned Media Report~オウンドメディアマーケティング戦略の潮流

トリプルメディアを前提としたマーケティングが国内で加速
オウンドメディア活用が進む背景

デジタルマーケティングが持つ最大の優位性は費用対効果が測れる点

 各領域での分析や解析技術の進化とその環境が整ってきたことにより、ブーズ・アンド・カンパニー株式会社の岸本義之氏が2009年に執筆した『メディア・マーケティング進化論』(岸本義之著,PHP研究所,2009/9/17)内で提唱されている、テレビ広告投資から実売までのパーチャスファネル分析が実際に各企業で運用できる環境にもなってきている。

 デジタルメディアを活用したマーケティングが持つ最大の優位性は、各デジタルコンテンツを集約できる点、いわゆる情報集積機能にある。オフラインメディアを含め、デジタルメディアは、唯一メディア企業以外の企業が運営元となれるメディアであり、結果、コミュニケーション目的でのマーケティングにおいても、費用対効果を測ることが可能となる。

パーチェスファネル分析(数値例)
(出典:『メディア・マーケティング進化論』岸本義之著,PHP研究所, 2009/9/17)
パーチェスファネル分析(数値例)(出典:『メディア・マーケティング進化論』岸本義之著,PHP研究所, 2009/9/17)
広告認知以外のデータがデジタルマーケティング(計測)機能により取得しやすくなってきている。
リサーチ(調査)以外の手法=オウンドメディアでの計測により、キャンペーンごとのアウェアネスから購買までの相関が図りやすくなってきた

 一方、私自身これまでコミュニケーション目的のマーケティングを多数経験をしてきたが、デジタル上でさまざまなデータが収集可能となった今、どの項目を計測することで企業の商品拡販やコミュニケーション戦略への寄与度を可視化することができるのか、明確な答えはなかった。

 その理由は、企業や商品によってデジタルマーケティングを行う際に計測したいデータがさまざまであり、規格統一することが難しく、またその領域を担当する内外部の人材も多くなかったことが一因である。

 『ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略』(鈴木良介著,翔泳社, 2011/11/9)で書かれている第1の壁、第2の壁という言葉を借りるのならば、第2の壁に対しての解が各企業内で出ていなかったために、そこが宝の山であっても手が出せなかったということだと推測できる。

 ただ現在、各企業は第2の壁も乗り越えつつあり、ブランドサイトやコーポレートサイトでのマーケティング目的を明確にし、データ活用をはじめている。第2の壁を乗り越えられつつあるということが、日本のデジタルマーケティングの更なる進歩を推し進めている状況と言えるだろう。

第1の壁と第2の壁の図
(出典:『ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略』,
鈴木良介著,翔泳社, 2011/11/9
第1の壁と第2の壁の図(出典:『ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略』,鈴木良介著,翔泳社, 2011/11/9
この図は企業内IT化による業務効率改善を示した図だが、企業のデジタルマーケティングに関しても同様のことが言える。デジタルマーケティングに置き換えて考えてみると、第一の壁が企業側のコミュニケーション上でのデジタル活用への理解であり、第2の壁がその活用で生まれるデジタルデータ(ビッグデータ)をどうマーケティングに活かすのか、指標をもち運用することの壁である

 さらに、マーケティング領域においてもビッグデータ活用という言葉を耳にするようになったが、その理由も先程の説明と同じであり、デジタルマーケティングで行なわれるべきコミュニケーションと計測すべきデータがコミュニケーションごとで明確になったことが大きいと思われる。

次のページ
オウンドメディアへの対応が進む背景

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
Owned Media Report~オウンドメディアマーケティング戦略の潮流連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

松矢 順一(マツヤ ジュンイチ)

株式会社アサツーディ・ケイ クロスコミュニケーション局を経て、伊藤忠商事株式会社情報産業部門でデジタルマーケティングを担当し、株式会社ADKインタラクティブ取締役就任。その後、楽天株式会社メディア事業副事業長を経て株式会社Tube Mogul執行役員就任。著書には共著で『次世代広告コミュニケーション』『トリプルメディアマーケティング』。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2012/12/05 11:00 https://markezine.jp/article/detail/16812

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング