広告主視点:Display広告進化の歴史(第三者配信/RTB)
3.第三者配信の活用
ここまでを振り返ると、広告主は純広やアドネットワークなど、広告購買の選択肢が増えてきました。それに伴い、媒体社やアドネットワーク各社が別々のフォーマットで提出するレポートを、統一した指標でもって広告効果を評価したいというニーズが出てきました。
例えば、あるユーザーが媒体Aの広告をクリック、その後媒体Bの広告をクリックして、自社サイトでCVに至った場合を考えてみましょう。その際、各社から出てくるレポートには、媒体AでもCV1件、媒体BでもCV1件となってしまいます。つまり、本来ならば1つだけしか物が売れていな場合でも、媒体2社が1つずつCVしたとレポートされてしまう、重複CV問題が生じます。そこで、このような課題を解決する第三者配信が登場します。

第三者配信を利用する場合は、第三者配信システムに画像をセットし、純広やアドネットワークには画像ではなく第三者配信が発行するタグを入稿します。広告配信をするタイミングで第三者配信のタグが呼ばれ、第三者配信に登録した画像が表示される仕組みです。
つまり、この仕組みによって複数の純広やアドネットワークへの広告画像配信を1つの第三者配信システムで行うことができ、配信結果がすべて第三者配信システムに集まります。そのため前述のような媒体を横断した広告配信数(インプレッション)の把握やユーザー単位のフリークエンシー、複数の媒体を経由したCVの重複排除が行えるようになります。
フリークエンシーとは、ユーザー単位でのインプレッションの回数のことです。たとえば、広告配信量が100万インプレッションでも、平均フリークエンシーが5回の場合は20万ユーザー程度への広告配信となります。また平均フリークエンシーが10回の場合は10万ユーザー程度となり、フリークエンシーによって配信される対象ユーザー数が大きく異なります。
また、従来であれば純広やアドネットワークなどへ広告配信用にセットした画像を差し替えるには時間がかかりましたが、第三者配信のシステム上では広告主が簡単に画像を差し替えることができます。
4.RTB買い付け(DSPの活用)
従来の純広、アドネットワーク等での広告出稿では、レポートのタイミングは月に1回、短い場合でも週に1回程度でした。純広は配信の最適化を行うことが困難なため、あまりレポートの頻度を短くするニーズはなく、またアドネットワークでは広告主側での運用が困難なためレポート頻度が少なくでも問題はありませんでした。

それに対して、RTBの仕組みでは広告在庫が発生した瞬間に、買うか買わないかを判断することができます。つまり、昨日までの広告配信結果を参考にして、今日発生した在庫を買うのか買わないのかを判断することが可能となり、短いスパンでPDCAをまわすことができるのです。そして、広告主は自らが広告出稿自体を運用することが可能になったのです。
まだまだRTB経由で購入出来る広告在庫の数は少ないですが、あと数年で全広告在庫の25%がRTB経由になると予想されています。
今回は媒体社側と広告主側の視点からアドテクノロジーの進化を解説しましたが、それぞれの立場でアドテクノロジーの捉え方も少しずつ異なっていると感じていただけましたでしょうか。次回はカオスマップと、もう少し詳しくRTBについて触れていきます。