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ここからはじめよう!アドテクノロジー基礎講座

アドテクノロジーの進化ってそもそも何が進化したの?【アドテクノロジー基礎講座第1回】

メディア視点:Display広告進化の歴史(アドネットワーク&アドエクスチェンジ/SSP)

3.アドネットワーク&アドエクスチェンジ時代

 アドサーバーの登場により、以前よりは柔軟に広告配信・管理が行えるようになったものの、媒体社は余剰在庫とそのマネタイズの問題と常に向き合ってきました。インターネット媒体の広告枠を販売するビジネスが難しいのは、ここにあります。媒体社は在庫が発生する前に純広を販売するため、未来に発生する在庫を予測して販売を行っているのです。

 たとえば、あるメディアサイトの先月の在庫が9,000万インプレッションだったとします。では今月も、先月と同量の在庫(9,000万インプレッション)を見込んで在庫を販売すればいいかというと、そうではありません。アクセス数が落ちて今月は8,000万インプレッションで、在庫が足りなくなってしまうという場合も十分に起こりえるからです。

 つまり、媒体社は先月と同じ実績のインプレッション(在庫)が、来月も確保できるとは限りません。だから各媒体社は独自の在庫予測を行い、安全範囲で在庫を販売しています。裏を返せば、在庫が足りなくならないように販売しているため、必ず在庫が余ることになるのです。

 この余剰在庫分のマネタイズに着目して登場したのが、アドネットワークやアドエクスチェンジでした。通常はアドサーバーで配信する画像を呼び出し、余剰在庫が発生した際にアドネットワークのタグを呼び、アドネットワークが適切な広告主の広告を表示します。アドネットワークには多くの広告主が出稿しているので、媒体社は営業をせずとも多くの広告主の広告を余剰在庫時に表示し、マネタイズする事が可能になりました。ただし余剰在庫分という事もあり、純広とは異なり、かなりの低価格帯で広告在庫を販売することになります。

 また、アドネットワークには広告主が直接広告を発注することができますが、アドエクスチェンジはアドネットワーク経由、もしくはDSP経由で購入します。ここがアドネットワークとアドエクスチェンジの違いです。

4.SSP時代

 純広に加えて、アドネットワークやアドエクスチェンジを活用して余剰在庫のマネタイズを行うようになってくると、徐々に純広とアドネットワークのパワーバランスが崩れてきました。つまり、パフォーマンス重視する広告主は純広へ出稿せず、結果的に効率の良いアドネットワークをはじめから活用するようになりました。これによって純広の販売は低減し、媒体社は新たなマネタイズの模索が必要になりました。

 そこでRTB(Real Time Bidding)という仕組みが登場します。RTBでは媒体に1インプレッション(広告在庫)が発生したタイミングでオークションを開催し、一番高い値段でそのインプレッションを買う広告主の広告を配信する仕組みです。

 RTBの仕組みを利用するにはSSP(Supply-Side Platform:媒体が登録し、オークションを開催する仕組み)とDSP(Demand-Side Platform:RTBオークションで広告を買う仕組み)の二つが必要です。これにより、媒体社はSSPを利用することで、1インプレッションを一番高く販売することが可能になり、広告在庫の単価アップにつながります。

 現在は日本においても、アドネットワークで広告在庫をマネタイズするよりも、SSP経由のマネタイズのほうが高く販売できるケースも見られるようになりました。

 ここまでをまとめると、媒体社のマネタイズ手法は純広に始まり、アドネットワークやアドエクスチェンジが登場し、現在ではSSPの利用など多岐になりました。一概にどれが良いということではなく、純広やSSP、アドネットワーク等をバランスよく組み合わせていくことが、今後は重要なマネタイズ戦略になります。

 さて、次は広告主から見たDisplay広告の進化を追っていきましょう。

次のページ
広告主視点:Display広告進化の歴史(純広買い付け/アドネットワーク&アドエクスチェンジ)

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この記事の著者

菅原 健一(スガワラ ケンイチ)

株式会社Moonshot 代表取締役 CEO

企業の10倍成長のためのアドバイザー。社会や企業内に存在する「難しい問題を解く」専門家。クライアント10社、エンジェル投資先20社の計30社のプロジェクトを並行して進める。過去に取締役CMOで参画した企業をKDDI子会社へ売却しそのまま経営継続し売り上げを数百億規模へ成長。スマートニュース...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/02/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/17188

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