消費者の意思決定プロセスを再考してみよう
また、AIDMAやAISASといわれるような消費者の意思決定プロセスがあるとした場合、コンバージョンに至る直前のラストクリックだけを評価対象にしていてもあまり意味がありません。

たとえば、テレビCMなどのマス広告を出稿すると、その広告主企業サイトへのアクセスが増加することがよくあります。それと連動して、その広告主企業のブランド名などの検索数も増加し、リスティング広告経由のコンバージョン数も増えることがあります。また、バナー広告のCTRが上昇することもありますし、CVRが上がることもよくあります。
テレビCMなどマス広告をみて気になる情報があると、検索してウェブサイトを訪問する消費者がいることは、想像できますよね。また、バナー広告のCTRが上がったりするのは、テレビCMをみて頭に残っている情報と同じものをバナー広告で目にするとリマインドになりクリックにつながることなどがあるのでしょう。
似たような現象は、リスティング広告と連動してバナー広告を出稿した場合にも起こることがあります。バナー広告をみることによって気になった情報をあとから検索することもあるでしょう。そしてバナー広告をクリックして広告主企業サイトを訪問し、一度は離脱したとしても、その後に気になって検索する消費者がいるのだと思います。
つまり、テレビCMなどのマス広告やバナー広告などが、Attention(注意)からInterest(興味・関心)に至るプロセスの起点となっていて、その後のAction(行動)につながっていると考えられるのです。
「アトリビューション分析」「アトリビューション・マネジメント」という言葉の登場
ラストクリックだけを評価対象にすることが問題視され始めた2008年頃、「アトリビューション分析」や「アトリビューション・マネージメント」という言葉が登場しました。私自身が最初に耳にしたのは、たしか2008年のSES(Search Engine Strategies)という展示会・カンファレンスでした。SESはアメリカを中心におこなわれているサーチエンジンマーケティング業界のイベントです。このイベントの中で、アトリビューションに関するセッションが登場してきました。

その中で紹介された事例は、これまでのラストクリックだけを評価対象にするのではなく、コンバージョンパスデータ(コンバージョンに至る経路のデータ)を取得し、初回クリック→中間クリック→ラストクリックのすべての経路を評価対象にするというものでした。
また、その分析に基づいて、広告予算のリアロケーション(再配分)をおこなったところコンバージョン数が増加したというのです。CPAも悪化していないとのことでした。このように、アトリビューションの導入事例がアメリカで紹介されるようになり、アトリビューションへの注目度が日本でも一気に高まっていくことになりました。