収集すべきデータを見極め、まずはスモールスタートを
続いて、実際にコミュニティパネルの開発構築を手がけたコントロールエーの谷本氏が登壇。ビッグデータ活用にはまだ誤解が多いことや、データ活用における設計の重要性、データを収集するためのプラットフォームについての考え方などを紹介した。
コントロールエーは、ビッグデータ解析を専門に行う会社ではなく、消費者データの収集と分析、活用を得意とする会社だ。コミュニティパネル/MROCを構築するためのシステムやタブレット調査システム、マーケティングパネルシステム、会員DB管理システムなどを提供するほか、それらシステムの運営やリサーチ、さらに、マーケティングプロモーションの支援も行っている。
谷本氏によると、実務レベルで相談を受けるなかでも、ビッグデータについてはまだまだ誤解があるという。たとえば、「大規模データがないので、ビッグデータの活用はできない」や「集められるデータをかたっぱしからすべて収集すべきだ」「ビッグデータ活用には膨大な投資が必要」などだ。
「データ分析には必ずしも大量のデータが必要なわけではない。また、たくさん集めたからといってその収集や保存コストに見合う結果がでるわけでもない。重要なことは、データ活用全般における『設計』だ」
設計というのは、システムの設計ではなく、課題や目的を明らかにすることやどのように事業に活用するかといった取り組みを全体のことを指している。具体的には、そもそも何のためにデータが欲しいのか(課題・目的)、どのようなデータを収集し、どうやって統合するか(収集・統合)、どのような分析を行うか(最適な分析)、結果をどう事業へ活かすか(活用)という大きく4つの取り組みが重要になる。
「1つめの事業の課題と目的がはっきりしていれば、4つめの活用もおのずと決まってくるはずだが、意外に最後の部分が抜けているケースが多い。結果をどう生かすかを踏まえた設計が大切だ」(谷本氏)
最後に谷本氏は、同社が提供するビッグデータ収集プラットフォームを紹介しつつ、「しっかりとした設計を行えば、既存のデータを連携させてスモールスタートすることも可能だ。かならずしも莫大な投資は必要ない。集めるべきデータは何なのかを見極め、取り組んで欲しい」と締めくくった。