モバイルはプランニングから見直す時期に
― モバイルシフトにいかに対応するかは大きな課題だと思いますが、広告主のモバイルに対する見方というのは予算を含めてどのように変化しているのでしょうか。
新澤:広告予算について、ナショナルクライアントはもはやPC用にいくら、スマホ用にいくらではなく、デジタルにいくらというふうに考えています。したがって、プランニングする側も手法そのものから変えていく必要があります。

ガラケーの頃は、多数のガラケー関連のクライアントが、いわゆる“ガラケー経済圏”を形成してその中でお金を回していました。スマートフォンでも、今はまだスマホ経済圏の中で回っていますが、この状況が続くようではおそらくスマホの広告マーケットはシュリンクしていくでしょう。
cciの売上全体に占める、スマートフォンのシェアはまだそれほど大きくはないものの、着実に増加しており、クライアントの顔ぶれも変わりつつあります。また、一般の広告主でも、デバイスごとに分けて考えるのではなく、デバイスの特性とそれぞれの重複も含めた全体戦略を一緒に考えていくような提案が多くなりつつあります。
― 広告主も変わりつつあると。
新澤:とはいえ、スマートフォンのアドネットワークも含めた広告在庫に関しては、どのアプリに出るのかわからないなど、広告手法に関して危惧されている部分があります。
ブランド広告主やナショナルクライアントがスマートフォンに広告を出すうえでの適正なフォーマット、適正な媒体のネットワークの整備はまだまだこれから。今の低単価のアドネットワークとは違った、プレミアムな広告市場を作っていかなければいけないですし、それを作るのがわれわれの重要なミッションと考えています。
デジタル予算の増加と動画広告の可能性
― デジタル予算の増加は今後も続いていくと思われますか?
新澤:デジタルに予算を費やされるのは変わらないと思います。しかし、広告主は新しい提案を求めてます。そのために、メディアとどういう広告商品を作るのかというところを、今メディア企業と真剣に考えているところです。

― その選択肢のひとつとして、動画広告もあると。
新澤:おっしゃるとおりです。しかし、在庫数が圧倒的に不足しています。
― どうやって在庫を増やしていくのか、気になるところですね。動画広告のニーズがあっても受け皿がなければ受けられないので。
新澤:プレロール型の在庫のニーズは高く、cciも、クライアントからの要請に応えきれていない状況です。しかし、インバナー、インストリームなどさまざまなフォーマット含めていくと、市場性は大きいと思います。このあたりについてはご期待いただきたいですね。
―新体制となった今年、cciからどんな新しい動きが生まれるのか楽しみにしています。本日は幅広いお話をありがとうございました。