効果的にスマホサイトからアプリへ誘導するには?
次にRedboxのスマートフォンサイト改善事例が2つ紹介された。1つはレスポンシブデザインへの対応だ。同社はスマートフォンはレスポンシブWebによるUXの最適化を、タブレットはPCと同じ構成で行うという方針を決めた。そして、全ページを一度に変更するのは難しいため、主要導線である6種類のページを改善した。その結果、訪問あたりの売上が11%、コンバージョン率が7%上昇したという。

この結果について、仮説をもって方針を決め、効果が高いと思われる箇所から手をつけたことが重要だったとデミレ氏は力説する。
2つ目に紹介されたのは、A/Bテストの事例だ。スマートフォンサイトからアプリへの誘導方法について、Adobe Targetを利用してテストを行った。テスト実施のきっかけは、コンバージョン率やリピート率が、Webよりもアプリで高いというデータが出たこと。そのため、Webサイトからアプリに誘導することを決定した。そこで、4つのパターンを用意し、どのパターンがアプリのダウンロードにつながるかを分析した。その結果が次のものだ。

左から順番に
A)上部にアプリのリンクを用意したもの
B)ページ上部を完全にダウンロード用ポップアップが覆い、箇条書きが入ったもの
C)Bと同じだが、箇条書きではなくアイコンを利用したもの
D)ページの上半分だけダウンロード用のコンテンツが表示されるもの
なお、数字はAを100%にしたときのもの。このテストでは、Cが最も効果が良かったことがわかる。そして、Webからアプリへの誘導をした場合、Web上での売り上げとアプリでの売り上げを比較した。すると、Web上での売上ダウンに大きく作用するが、それ以上の売上をアプリで作れることが判明した。
最新版Adobe Analytics+SDKで実現する横断分析
続いて、Webとアプリを横断した分析をしたいところだが、現在、Redboxが実装しているAdobe Analyticsでは、Webとアプリを横断した分析ができないようだ。なお、最新版のAdobe AnalyticsとSDKを利用すると実現できるとのこと。例えば、先ほどの実験のリンククリックから、アプリでの購入までの分析が可能。また、アプリ分析に特化したセグメントも数多く用意されている(例:インストール日・アプリの起動回数・最終利用からの日数)。ただし、これを実現するにはブラウザからアプリにキーを渡す必要がある。
現在、モバイル端末への対応は待ったなしの状況だ。対応を実施していない箇所ほど、大きな改善効果が期待できる。この言葉でセッションは幕を閉じた。