SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

「1日あたりのCM接触回数は約194回/純粋想起されるCMは約3割」2014年上半期のCMトレンド分析【デジタルハリウッド大学特別講義】


2014年1月:ハーゲンダッツのCMが成功した要因

 では実際に、2014年1月度のCM好感度をみていこう。

 1年のはじまりということもあり、正月は新しいCMが最も多くオンエアされる時期だ。CM好感度トップ10の顔ぶれには、正月の初売りを訴求する「ダイハツ」「日産」や、新年ということで何か新しいことを始めようと一念発起する人に向けた「ユーキャン」「コナミスポーツ&ライフ」のCMがランクインしている。

 このトップ10にはランクインしていないのだが、「商品にひかれた」ランキングで1位になったハーゲンダッツの事例を増崎氏は取り上げた。下図はハーゲンダッツの好感要因を赤いグラフで示したもの。このCMには柴咲コウが出演していたが、出演者の項目よりも、商品にひかれたポイントが非常に高いことがわかる。タレントが目立ちすぎずに、商品の魅力が伝わるCMに仕上がっているということだ。

 ハーゲンダッツは1961年にニューヨークで誕生した高級アイスクリームブランド。日本に参入したのは1984年で、日本初のCMは1991年から実施している。下記は直近10年間のCMの推移を示したグラフ。青いグラフは放送回数、赤いグラフがCM好感度を示しており、柴コウが起用され始めた2011年から、CM好感度がぐっと伸びている。

 「もともと、ハーゲンダッツは外国人タレントを起用してきました。その時代は高級感を前面に押し出していましたが、出演者を柴コウさんに変更してからは、ラグジュアリー感は残しつつ、日本人タレントが出演していることからより親しみやすいものになりました。また、『食べるまでの待ち時間を楽しみにする』という消費者側へ気付きを与えたり、身近な場面設定にしたことで消費者は自分のシチュエーションに置き換えて考えやすくなり、試してみたいと思わせたことも、CM好感度が伸長した要因でしょう」(増崎氏)

2014年2月:携帯キャリア3社の学割商戦の模様

 続いて、2014年2月度のCM好感度トップ10をみてみると、通信事業者やドリンク類が目立つ。そして同月は、携帯3社が学割商戦を繰り広げていた。

 「最も早い時期から、学割訴求のCMを始めたのはドコモでした。それからソフトバンク、auと続いたのですが、放送回数ではソフトバンクのCMが圧勝でした。前年度比226%という力の入れようでしたね。auに関しては前年の約1.5倍、そしてドコモについては実は前年の3割程度しかオンエアしていませんでした。しかしながら、ドコモはオンエア回数では競合2社よりも劣るものの、若い世代に人気のワン・ダイレクションを起用することで大きな話題を呼びました」(増崎氏)

ソーシャルデータから具体的に消費者インサイトを見抜く

 ところで、Twitterの全量データから分析したCM好感度ランキングを、過去にMarkeZineのニュースで掲載したことがある。これはつぶやきの量と内容から、CMの好感度を分析したものだ。ソーシャルデータは、消費者がCMの何に心を動かされたのか、より具体的に理解する手助けになる。

【2014年1月】通信キャリア3社の携帯学割商戦、ドコモに軍配あり
【2104年2月】受験シーズンの教育業界テレビCMの勝者はZ会/企業編ではリクルートが1位

 企業と消費者のコミュニケーションをより円滑に進めていくために、これらのデータを総合的に分析し、消費者のインサイトを見抜くスキルが今日のマーケターには求められている。以前よりも容易に様々なデータを活用できるようになった今、多くのデータの中からどれを活用すべきか、逆に戸惑う人もいるかもしれない。そんな方は、まず手始めに今回の調査データと自らの実感値を比較し、そのギャップの要因を考えてみることから始めてはどうだろうか。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2014/07/17 15:55 https://markezine.jp/article/detail/20445

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング