矢野経済研究所は、国内のクラウドソーシングサービス市場の調査を実施した。クラウドソーシングサービスとは、インターネットを介在として、業務委託側である企業や団体等が、業務受託側である不特定多数の登録ワーカーに業務を委託することができるサービスをさす。
本調査では、クラウドソーシング(システム)上において、企業や団体等から依頼された仕事の金額総額(成約に至らなかった仕事の金額も含む)を、クラウドソーシングサービス流通金額規模として算出した。
2013年度の流通金額規模は前年度比101.7%の215億円に
2012年度のクラウドソーシングサービス流通金額規模は前年度比140.5%増と高い伸びを示した。東日本大震災以降、在宅ワークやテレワークへの需要が高まり、クラウドソーシングサービスを試験的に利用する企業が増加したためであった。
2013年度はクラウドソーシング事業者による積極的なPRの効果もあって、クラウドソーシングサービスの認知度がさらに高まり、クラウドソーシング事業者が顧客と登録ワーカーの双方を集めやすい環境が整った。そのため、事業を順調に拡大したクラウドソーシング事業者が多く、2013年度のクラウドソーシングサービス流通金額規模は、前年度比101.7%増の215億円(仕事依頼金額ベース)となった。
2018年度の流通金額規模は1,820億円に達する予測
2014年度にはクラウドソーシングサービスの業界団体である一般社団法人クラウドソーシング協会が設立され、業界全体で認知度向上や利用促進への取り組みが進むため、クラウドソーシングサービス事業を進めやすい環境がさらに整う見込み。
2015年度以降は、クラウドソーシング事業者各社の大手企業向けサービスの開発や協会の認知活動により、大手企業によるクラウドソーシングサービスの利用が進み、市場は引き続き高い伸びを示していくと予測する。一方、参入企業数の増加により、価格競争が厳しくなり、また、顧客や登録ワーカーを増やすことのできないクラウドソーシング事業者が出てくる可能性もある。
このように、市場には成長阻害要因もあるものの、全体的には拡大基調にある。クラウドソーシングサービス流通金額規模は、小規模ながらも高いペースでの成長が続き、2012年度から2018年度までの年平均成長率(CAGR)は60.5%で推移し、2018年度のクラウドソーシングサービス流通金額規模は、1,820億円(仕事依頼金額ベース)に達すると予測する。
【調査概要】
調査期間:2014年4~7月
調査対象:クラウドソーシング事業者
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・Eメールによる取材、ならびに文献調査を併用
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