デジタル・テクノロジーを活用できるかどうかが今後のカギ
2日目には、「Oracle Marketing Cloud」のソリューションについてのセッションや、オラクルの顧客企業によるマーケティング・オーケストレーションにおけるデータの重要性などのセッションが行われた。
Forrester ResearchのVPおよびPrincipal AnalystであるShar VanBoskirkは「The Future of Business is Digital」と題して、デジタル・テクノロジーを利用して顧客の行動に合わせてマーケティングを行うことの重要性を説明した。

このセッションの中でVanBoskirkは従来のブランドの認知度やマスメディアを利用した需要の創出をするようなマーケティングから、顧客のライフサイクルや行動を定義し、それにあったコミュニケーションをするマーケティングに転換するべきであるとしている。
そして、そのようにして顧客の行動に合わせたタイミングでのマーケティングをすることで、よりそれぞれの顧客のことを深く知る事ができるようになり、顧客によりよいアプローチをするためにはどうすればいいかがわかってくるようになるとしている。
そして、このようなマーケティングを実践するためにはテクノロジーが必須であり、その為には以下の3つの機能が必要であるとした。
まず、顧客のライフサイクルや行動に応じてコミュニケーションを行うマーケティングエンジン、次に、このようなコミュニケーションをいつ行うかを判断し実行させる機能、それから最後に、このような仕組みを動かす為に必要となるデータを保存し、管理していく機能である。
しかしながら、VanBoskirkは多くの企業でこのようなデジタル・マーケティングを実行する為に必要とされるスキルと、それぞれのスタッフが持っているスキルには乖離があると指摘。
例としてマーケティング部門に最近もとめられるスキルとして、サーチエンジン最適化やソーシャルメディアへの対応などがあるが、現実にはスタッフが最も得意なのはウェブサイトの運用管理であったりするというものである。
ではこのような状況の中で、企業がデジタルの世界に適用していくためにはどうすればいいかという問題に、VanBoskirkは次のような回答を述べている。
まず、企業は組織の壁をとりはらって、どのような機能が必要であるか考えるべきであり、必要な機能とは、戦略・ガバナンス・実行の3つであるとしている。
戦略を考えるのは、ウェブサイトの運用管理を考えることではなく、デジタルの世界の中で、顧客にどのような価値を提供していけるようになりたいかを考えることである。
ガバナンスにおいては、まず顧客が企業からいつでも一貫した対応を受けられるようにすることであり、それがデジタル戦略によってつながっているようにすることである。
実行においては、顧客がさまざまなチャネルやデバイスを通じてコミュニケーションを受けることができるようにするだけでなく、これまでのやり方がデジタルの世界でどのように変わっていくかを考えるということである。
そして次に、VanBoskirkは、権限範囲の重要さを説き、これが大きな障壁となっているケースが多いとしている。そして、この障壁がある部分を特定して、そこに必要な権限を割り振ることが重要であるとしている。
最後に、戦略・ガバナンス・実行のそれぞれにおいてどのようなリソースが不足しているかを考えてみる必要があるとしている。これによりマーケティング部門にどのような人材が不足しているかがはっきりするようなる。
また、そのときに必要となる人材は、必ずしもマーケティング分野の人材ではなかったりすることもあり、例えば戦略について考えることができる人材は、社内の別の部門から調達することもできることが往々にしてあるとしている。
今回の「Oracle Marketing Cloud Interact 2014」では、2日目および3日目で、数多くのブレイクアウトセッションが行われ、「Oracle Marketing Cloud」の各製品を利用している企業からのプレゼンテーションが多く見られた。
昨年までのB2Cをメインターゲットとし、Responsysとして行われたInteractと比べると、異なる業種やマーケティング課題に対しての事例が見る事ができたとともに、今後の「Oracle Marketing Cloud」の成長が楽しみとなるイベントであった。