ダブルスクリーンを「がっつり楽しむ」インタラクティブ体験
2013年6月にBS JAPANで「Bloody Tube」という、プロジェクションマッピングとダブルスクリーンを組み合わせた視聴者参加型エンターテインメント番組を生放送しました。

これは、人気タレントの体内(血管)に入り込むという設定で、視聴者参加型のレースゲームを展開しました。視聴者は血液型別に4つのチームに分かれ、手元のスマートフォンをコントローラーにして、番組の進行に合わせてリアルタイムなゲームに参加しました。視聴者の行動は瞬時にテレビ画面に反映されます。同時に手元の画面に対しては個別のコミュニケーションが届くという、パーソナライズされたライブ感を提供しました。
ゲーム自体はシンプルなものながら、自分のゲーム結果がチーム結果に反映されます。テレビ画面を通して、見ず知らずのチームメンバーとの一体感をもたらしながら、スマートフォンを通じて自分とつながっているソーシャルの友だちの動きを観る楽しみを演出しました。放送中には参加者のニックネームを表示し、エンディングでは参加者のリアルタイムにランキングが表示されることで、参加した達成感を提供。番組と連動する世界観をみんなで体感してもらうことを目指しました。
さらに、ロイヤリティマーケティング社との連携で、最終的にレースを制したチームには賞品として「100万Pontaポイント」をその場でプレゼントするという、新たなプロモーション「O2O2O(On Air to Online to Offline)」にも取り組みました。
結果として、この取り組みはカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルのモバイル部門ゴールド受賞など、たくさんの評価も受けました。この取り組みでの第二弾として、2014年1月3日には「MISSION 001~みんなでスペースインベーダー~」も放映されました。今後もダブルスクリーン視聴を核に据えた、画期的な参加型番組としての展開を図っていきます。
効果的なコンテンツの二次活用
2014年9月まで10ヶ月間放送された「金曜カーソル」(毎週金曜20:00~ 放送:WOWOW)では、視聴者の参加によって内容が変わるという新感覚のエンタメバラエティ番組を提供しました。ベースはWOWOWの放送予定番組を紹介する無料放送の番宣番組。この中で取り上げられる番宣を活用して、コンテンツ化をはかりました。例えば、ハリウッド映画の紹介中に登場するスターの一瞬の手の形を予想して対決する「ハリウッドじゃんけん」、週末から翌週にかけてWOWOWで放送されるスポーツの試合やイベントの結果を予想する「エンタメブックメーカー」といったお題を出題します。参加者はそれらに対して、オッズ(配当率)の値やスタジオのトークなどを参考にしながら、番組独自の仮想通貨「カーソルコイン」を賭けます。
スマートフォンを通じた参加者のコメントやベットの状況は、リアルタイムでテレビ画面に反映されました。それらに対して出演者と視聴者が一緒になって意見を言い合いながら結果を予想することで、番組と視聴者の間で今までに無かった新しいコミュニケーションを実現。単純に番宣を放送するだけでは視聴者に注目されないところを、視聴者参加型の番組にすることでエンターテインメント性の高い番組として変換することができました。結果として、この番組は10ヶ月間オンエアされることになりました。

映像コンテンツのイノベーションがフォーカスされている中で、「視聴を共有する行動」「参加するために視聴する行動」という新しい鑑賞スタイルをつくることで、すでにあるコンテンツ資産の価値をさらに発展させる体験を提供することができます。また、もともとのコンテンツを閲覧するということが視聴者アクションのベースにあるため、ダブルスクリーンがなくても楽しむことができます。ここに、既存タイプの視聴者も損なわないというメリットもあります。コンテンツとしてどういった体験をもたらしたいかという観点から、セカンドスクリーン側での企画やクリエイティブの力を加える事で、幅広い展開をもたらすことができるのです。コンテンツ二次利用の新しいあり方をつくりだせる手法です。