視聴者を動かす「広告のコンテンツ化」
2014年春放送のTBS特番「ミッドナイト感謝祭!もってけダービー'14春」では視聴者参加型のダービーを実施しました。CMのタイミングに合わせて視聴者の手元にある端末の画面を切り替え、CMの内容にかかわるクイズ形式のアンケートを実施。CMの商品を知っていたかどうか、あるいはCM内容についての簡単な質問などを行いました。視聴者が回答すると番組本編で使用可能な、スポンサー名義のボーナスポイントを獲得できるという仕組みです。

シンプルな設計ですが、ポイントを貰った視聴者はスポンサーに好感度を持ち、自発的に商品に関する好意的なコメントをしたり、スポンサーにお礼ツイートをするという行動が多く見られました。同じCMであっても、視聴者自身との関わりを意識して受け止めてもらうことで、商品に対する理解度や親近感が大きく向上し、自分ごと化されたCM体験をつくりだすことができた事例です。
ダブルスクリーン視聴が進んでいくことによって、コンテンツと密接に関わった広告体験が可能となります。ここで重要なのが「コンテンツのどういったエモーションにのせるとCM効果があるか」という視点です。番組を見て得たエモーションをそのまま行動に移してもらうためには、番組を含めた視聴体験とつながるシームレスな感覚をCMにも持たせることが必要です。CMや広告自体が不要なもの・飛ばしたいものではなく楽しむものとなり、クライアント側のターゲットニーズと的確にマッチしたユーザーに対して価値のあるものとなれば、クライアントも視聴者もハッピーになれるO2O2Oが確立されていきます。
ダブルスクリーンの数値的なメリット
ダブルスクリーン視聴の場合、視聴者アクションを軸としたエンゲージメントKGIを評価ポイントにできます。例えば、コンテンツへの参加者数、参加者のアクション数、SNSへの拡散数が挙げられます。ターゲットに対して与えたかった価値や目的が伝わったのか、受動的に視聴するだけでなく、能動的なアクションを促せたのかどうかを把握できる、本当の意味での費用対効果が見えるようになります。
PC×スマホで遊ぶ、新感覚アトラクション
バスキュールの視聴者参加型番組を可能にしているのは独自サービス「M.I.E.S.(Massive Interactive Entertainment System)」です。このサービスが持つ、リアルタイムに大人数が参加するデータを処理する機能によって、ダブルスクリーンを実現しています。この機能はテレビだけではなく、ライブイベントやWebキャンペーンでも活用が可能です。
MIES活用のWebコンテンツ第一弾として2014年夏に実施した「ドラえもん『のび太と空中散歩』」があります(関連記事はこちら)。世界初タケコプター試乗会と銘打った当キャンペーンは、PCブラウザ上のYahoo! JAPAN特設ページと、スマホブラウザ上の特別タケコプターページを連携させたキャンペーンです。PCの前でスマートフォンを前後左右に傾けると、PCブラウザ上の特設ページの風景が画面が上昇したり方向転換をするというもの。ユーザー自らがタケコプターを操作する体験を提供したというわけです。2週間という短期の開催でしたが、66万人に楽しんでもらえました。

ダブルスクリーンは手段
このように、テレビ視聴者とウェブ利用者のどちらも、パーソナルデバイス・スマートフォンを活用したキャンペーンに興味をもって参加してもらえる時代です。しかし、気を付けなければならないのは、ただ単純にダブルスクリーン視聴を取り込めばよいわけではない、ということです。それでは逆効果になりかねません。あくまでも狙いは「視聴すること自体がエンターテインメントな驚きや喜びになる、日常の中に非日常を体験させてくれるワクワクする存在となること」です。そのためにクリエイティブの力を活用する。この考え方が重要です。
バスキュールは今後も積極的に、視聴者に新しい楽しみ方をもたらす「エモーショナルなダブルスクリーンエンターテインメント体験」を提供したいと考えています。