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ビジネスマンのための必読オンラインマーケティング塾

第5回 創発的視点でオンラインマーケティングを考える

プル型のマーケティング・ツールとしてのWeb

 さて、では、オンラインでのマーケティングはどうなのでしょう? 現在、オンラインで行われているマーケティングは口コミや人のつながりを創発させるような組織的な現象を生み出せていると言えるのでしょうか?

 まず、オンラインでのマーケティングがもつ特徴のひとつとして、それがプル型のマーケティングが主体となることがあげられると思います。多くの人が集まり、利用する場所(メディア)を狙ってメッセージの発信を行うCM、雑誌広告、交通広告などのプッシュ型の手法とは異なり、一部のバナー広告などを除けば、Webでのマーケティングはどちらかといえばユーザー自身にメッセージのある場所に来ていただくプル型の手法を用います。

 サイトの集客力を高めるSEOやリスティング広告などを使ったSEMはその代表的な手法でしょう。ユーザーがその場で行っている行動とは無関係に企業サイドがプッシュを行う広告的手法とは反対に、SEMを実施する場合は、ユーザー自身が主体的に行う行動のコンテクストのうちに選択肢として企業サイドが自らを位置づけることになります。したがって、ユーザーの検索語に応じて最適化を行うSEMの手法では、ユーザーの主体的な情報収集行動の流れの中で選択が行われる確率をどれだけ多くできるかがポイントになってきます。

 もちろん、その際でも先に見たような創発現象を生み出すためには数が重要です。多くのユーザーが共通して要求するキーワードをいかに見つけられるかは単にアクセス数を積算的に伸ばすという意味以上に、多くのユーザーにコンテンツを見てもらったり、実際に商品を買ってもらったりすることで、その後の口コミによる創発現象を生み出せるかも評価のポイントと考えるべきでしょう。その意味では、単なる表示順位の最適化をはかるだけでなく、ユーザーが共有したくなるコンテンツを用意しておくことも、これからのSEMでは重視していかなくてはいけないでしょう。SEM(検索エンジン・マーケティング)からSEB(検索エンジン・ブランディング)へ、といったところでしょうか。

 SEMがどちらかといえば新規ユーザーの訪問を促すものだとすれば、ブログマーケティングと称されることもある、ビジネスブログ+RSS/Atom Feedによるコミュニケーションは、リピート訪問を促すためのプル型の手法だと考えることができると思います。自分でブログを書いていても感じることですが、更新が滞ってしまっているときよりも毎日更新しているほうが当然多くの方に訪問してもらえますし、自分が閲覧する側に立った場合を考えても、滅多に更新されないブログよりも更新頻度の高いもののほうが親しみを感じることができます。

 また、更新頻度の高さは単にサイトへの訪問率を高めるだけでなく、サイトの信頼性を高めることにもつながるようです。先日、株式会社ホットリンクマクロミルの協力によって実施した「企業サイトに対する消費者の書き込み意識調査」の結果によれば、「どのような企業サイトであればより信用できるか?」という質問に対して、「情報量が多いサイト」、「更新頻度が高いサイト」と回答した人がそれぞれ77.7%、69.9%みられるという結果が出ています注1)。

 信頼や親しみが価値をもつという意味では、ビジネスブログ+RSS/Atom FeedによるコミュニケーションをはじめとするWebでの定期的なコミュニケーションは、やはり相手を突き動かすマーケティングというよりも、相手を引き付けるブランディングに近いといえるでしょう。

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SMO(ソーシャル・メディア・オプティマイゼーション)

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この記事の著者

棚橋 弘季(タナハシ ヒロキ)

芝浦工業大学工学部(建築学専攻)卒。マーケティング・リサーチ、Web開発等の仕事を経て2003年より株式会社ミツエーリンクスに。現在はWebを使ったマーケティングに関する企画や自社サービスの開発に従事。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2006/09/22 13:30 https://markezine.jp/article/detail/213

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