国内外で進むエンタープライズ企業の動画活用
MarkeZine編集部(以下MZ):動画は今、企業のマーケティング活動に欠かせないものとなっています。一方で、社内コミュニケーションを目的とした動画の活用にも取り組む企業が増えているそうですね。
竹見:はい。企業の広報部門や人事総務部門、あるいは社内トレーニングやナレッジの共有のためにということで営業部門など、さまざまな部門にニーズがあります。それを受けて2月4日、社内向けの動画活用をテーマに「Enterprise Video Communicationsセミナー」を開催しました。
その中では当社のパートナー企業である、米Piksel社のグローバルマーケティング・セールスを担当しているジョイスさんを迎えて、海外の最新事例を話していただきました。
MZ:では、まずジョイスさんにうかがいますが、海外のエンタープライズ企業の動画活用について、現状を教えていただけますか?
ジョイス:2005年にYouTubeが登場してちょうど10年、企業がプロモーションなどに動画を活用することはごく当たり前になりました。これは日本でもそうだと思いますが、企業の動画がたくさんシェアされ、ソーシャルメディア上で話題になることもよくあります。
まず社内向けの話をする前に、今海外で起こっていることをお話しします。もっと顧客の本業に貢献するような動画の活用の話です。
個人のスクリーンを使った新たなビジネスモデル
MZ:本業に貢献する活用、というと?
ジョイス:動画がシェアされて話題になるのは、PRやプロモーションの一環ですよね。それを越えて、動画の普及によって企業が収入源を得る手段が生まれているということです。
例えば、飛行機にはたいてい映画などを見られるスクリーンがついていますが、業界全体で見ると実はスクリーンを持たない、エンターテインメントを提供していない航空会社が65%と多数派なんです。
でも、今では乗客がそれぞれスクリーンを持っています。スマートフォンやタブレットです。これを活用すれば、スクリーンを持たない航空会社も動画の提供ができ、そこへ広告を入れればマネタイズが可能になります。
MZ:なるほど。新しいビジネスモデルが生まれているんですね。
ジョイス:ええ。今や、いつでもどこでも動画を楽しめる環境が整っています。例えばブラジルのサッカーチームが、世界各国に暮らすブラジル人へオンラインで試合を配信して、視聴料や広告料などでチームの収益を上げることもできるでしょう。
動画という、動的なものをそのまま伝えることができる利点を活かした例だと、アパレルのECサイトが挙げられます。サイトに洋服を着用した動画を添えたところ、イメージが的確につかめるようになり、売上向上や返品率の低下に貢献したそうです。
一方、社内向けでも、さまざまな業種の企業で積極的な動画の活用が模索されています。