海外でも社内向けでは「営業支援」「社内広報」に有効
ジョイス:社内向けの動画の活用では、大きく分けて営業支援、社内広報の2つの目的で活用されていると思います。具体的には、営業支援はトレーニングやノウハウの共有。社内広報は、社員のモチベーション向上や、トップのメッセージ発信などがあります。
営業支援の例だと、健康食品を扱うハーバルライフでは、92カ国・320万人の販売員への商品情報や販売ノウハウの共有に、動画を活用しています。個々人の視聴履歴を追うと、実際によく見ている販売員ほど成績が良いというデータも出ています。
各国に工場があるといった場合も有効です。航空機メーカーのエアバスは、製造拠点など約500カ所にデジタルサイネージを設置して、デスクを持たない従業員へも情報共有に活かしています。
こうした使い方は社内だけでなく、代理店やパートナー企業との間でも十分可能です。どこかに集まってトレーニングや共有会をするより、コスト削減にもなります。
MZ:社内広報という点では、いかがですか?
ジョイス:例えばデルタ航空では、社長が社員へ毎週メッセージを発信しています。彼らはノースウェストを買収しましたが、組織の合併などの際には社内が揺らぎやすいものです。それを防ぎ、企業の推進力を高めています。
社内を一体化させ、強い組織を作る目的では、実は当社Pikselでも動画を使っています。我々も世界中の動画関連企業23社がひとつになってできあがっていて、5カ国8オフィスで運営しています。そこで「Piksel TV」という動画チャンネルで、毎日のように個々の社員の動きを紹介しています。
今まさに国内でも拡大している社内向け動画配信
MZ:では竹見さんにうかがいますが、国内でも社内向けの動画活用が進んでいるのでしょうか?
竹見:ええ、先進的な企業ではすでにかなり進んでいると思います。当社のクライアントでも、メディア企業から一般企業まで幅広く使っていただいています。目的としていちばん多いのは、やはり教育による営業支援ですね。エンジニアのスキルアップのための研修動画から、優秀な営業マンの商品紹介の仕方を共有するなど、いろいろな使い方があります。
トップメッセージのライブ配信もご要望が多いです。テキストと違って情緒的な情報まで含めて伝わるので、年頭の挨拶などは数多く協力しています。
MZ:具体的な事例はありますか?
竹見:例えば携帯キャリアショップを展開するITXさんでは、当社の動画配信プラットフォームを活用して、全国拠点の社員が利用する社内SNSで、従業員が自らモバイル機器などで撮影したセールストークや店舗紹介などの動画を共有されています。
MZ:特に社内広報が目的だと、広報部や総務部が扱うことになるのでしょうが、IT関連にはそこまで明るくない印象があります。
竹見:まずマーケティングや販促部門などが社外への動画活用を始め、その効果に注目して社内も、という流れで関心が高まっていますが、たしかにご指摘の点を懸念されることはあります。その点でも、プラットフォームの使いやすさを評価してもらい、活用されるケースがほとんどですね。