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四家正紀のネオコミュニケーション遊談

Eメールの「生の声」からカンバセーショナルマーケティングへ~激変するオンラインマーケティングの未来~ (前編)


話し言葉の重要性と「カンバセーショナルマーケティング」

四家
いや、いちいち納得いくわけですね。僕がeメールマーケティングのカレンに入社し、ブログマーケティングをやろうと言い出すそのきっかけは、あのころ読んだ『図解Eメールマーケティング実践講座』だなあと。
喜山
何と申していいやら。でも、インターネットマーケティングで展開されたことは、あの時に目撃したことの再演のように思うこともあります。
四家
なるほど。そして、DOさんによる「リサーチとプロモーションが重なるマーケティングビジネス」のノウハウをもってeメールを活用したのがiMiだったと。
喜山
四家さんが、先鞭をつけてくださったブログで、名実ともにネットの声には主役の交代劇が起こりましたね。企業と消費者の。ブログは、企業発信で消費者が応えるというeメールマーケティングの限界を、消費者発信で企業が応えるという逆転劇まで運んでくれました。
四家
それも公開の場で行われますからね。
喜山
マーケターが、企業としてではなく、担当者として発信するという核を作ったことで、eメールマーケティングは突破口を見出しました。同じように言うと、あるマーケターが、林立する消費者ブログの記事を読んで、「もう自分たちがコンテンツをつくる時代は終わったんですね」と話したんです。
四家
うーん「自分たちだけが」のような気がしますが。
喜山
そうそう、自分たちだけが、自分たちだけで、ですね。独占的な立場じゃなくなったと。ぼくは、ああ、これはWeb 2.0的発言だなあ。いい意味の敗北宣言だなと感じました。
四家
敗北宣言はいいですね。次の戦場に進める。
喜山
そうそう。このひと言は、次の10年を作るなあと感じたんです。eメールマーケティングは、消費者の発信(返信)をどう呼ぶかをテーマにしていましたが、ブログマーケティングは消費者の発信にどう応えるかがテーマになったと。
四家
そこで重要なのは、話し言葉だと思うんですよ。
喜山
ああ、話し言葉。そうですね。そこ、展開してください。
四家
いま米国で「カンバセーショナルマーケティング」という概念が出てきてますけど、あれはカンバセーショナルメディアであるブログをベースにしたプロモーションが主体なんですよね。この前、織田浩一さんに教えてもらったDoveのYouTubeを活用したキャンペーンなど 大規模かつ斬新な事例もあるんですが、本来の「会話」という意味で言うとドゥ・ハウスやカレンがやってきた、eメールマーケティングをベースにしたアプローチのほうが意味としては強いんじゃないかなと。
「Federated Media」のトップページ。
喜山
カンバセーショナルマーケティングというのは、対話するマーケティング?
四家
概念は、実は今のところあんまりはっきりしないですね。ただフェデレイテッド・メディアというブログ広告配信ネットの会社が、いろんな企業を集めてカンバセーショナル・マーケティング・サミットを開催して、活況だったようです。
喜山
そうなんですか。ブログマーケティングの進化形ですか?
四家
まあブログマーケティングの定義はいまや難しい(笑)。いずれにしても、ネットがインタラクティブな機能を持ち、一人ひとりの人間が端末の前にいる以上、話し言葉の重要性は見逃せない。iMiや、eメールやネットコミュニティをベースにした喜山さんのさまざまな取り組みは、まさに会話をベースに発展してきたのではないかと。
喜山
会話には、生ものの面白さがありますね。
四家
よくiMiのメールをもらっていたので そう感じるわけです。
喜山
初期は特に、話しかけていましたね。「こんにちは」、と。
四家
そうです、よく覚えています。「こんにちは。●●(社名)の××(個人名)と申します」なんとなく自然に読み流していましたが、考えてみれば斬新なことだった。今ではすっかり定着しています。
喜山
最近よく、社内アンケートを取るんだけど返信してくれる社員がいなくて困っています、という相談を受けることがあります。その解決策とのひとつとして、アンケートを出すんじゃなくて、知りたいんだけど教えてって手紙にするといいですよ、と答えたりしています。話しかけてみたら、ということですね。
四家
はいはい。こちらも喜山さんの著作
一億総マーケター時代の聞く技術―「明日の売れ筋」をつかむプログラム (阪急コミュニケーションズ)
の最初の項目が「個人名を名乗る」。
喜山
そうそう。これは、勇気を出そうぜ、みたいな感じですね。
四家
勇気のいることだったんですよね。いや、いまだにそうですね。
喜山
ずいぶん自然になりました。でも、いまでも勇気の側面あると思います。問い合わせ対応などでは。で、「囲い込み」じゃなく、「飛び込み」だなぁって。飛び込み、勇気いりますからね。
四家
はい、それ、どこかでお伺いして、斬新だと思いました。それ以来なるべく「囲い込み」って言わないようにしています。
喜山
でも、つい言いますよね、「囲い込み」って。魔力のある企画書言葉のように。
四家
そうなんですよね。だから肝に銘じてます、安易に使うなと。
喜山
ただ、「飛び込み」は勇気というか気力がいります。だから本当、コミュニケーションが好きというか、話し言葉が好きというか、商品が好きとか、そういう要素がいるなぁと思います。個人として、というか。個人のレベルで。
四家
ですよね。大きな企業では特に お客様センター以外では接近戦やってこなかったですから。ところがネットでダイレクトに消費者につながってしまった。
喜山
個人化、フラット化を肌に感じるところですね。お客様センターも、個人としての対応力を求められていますねそうなると、組織がどう、というより、個人の人間力が問われるなぁと思ったります。
四家
最後はそこに落ちますよね。

後編はこちらへどうぞ!

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この記事の著者

四家 正紀(シケ マサノリ)

株式会社カレン次世代ビジネスリサーチ室長。インターネット広告の草創期からWebマーケティングに携わり、現在はカレンにて次世代販促コミュニケーションについての研究活動と、ブログマーケティング・ブロガーリレーションズ案件のプロデューサーとして活躍。寄稿、講演多数。 ブログ カレン次世代ビジネスリサーチ室ブログ

著書

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/12/03 17:55 https://markezine.jp/article/detail/2205

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