DRMでの具体策
さて、話を戻して、DRMでの具体策を見ていきましょう。CVRを向上させるポイントはいくつかありますが、原則としては次のようになると思います。
- 十分に見る者の興味を引く表現手段~デザインやキャッチコピーの適性化
- 見る者が興味を抱いた瞬間に次の行動示唆を与えられるユーザビリティ~ナビゲーションの適性化
- 見る者が最後の決断を下せるサービスと企業ポリシー~安心感の提供
「鉄は熱いうちに打て」というわけで、DRMの世界では、この1~3のタイムラグをいかに低減させられるかが、CVR向上の最大のキーポイントになります。
どうでしょうか? 基本的にはWebもDRMの施策も考え方は同じだということがおわかりいただけたと思います。ユーザーの心理を考えれば、購入する/しないではなく、その前の誘導の仕方や申し込み方で少しでも考えさせたり迷わせたりするところがあると、その場でカタログや新聞を閉ざされてしまう可能性が高いことは想像いただけたと思います。
具体例を挙げると、「申し込みの電話番号表記が小さい」「フリーダイヤルではない」「返品案内がない」「商品画像がボケている」「価格が税込みか税別なのかわからない」…こんな些細なことで、潜在顧客は容易に去っていってしまうものだと思ってください。
もちろん、最終的なCVR向上の決め手は商品の魅力であり、また価格訴求であるのですが、そこに至るまでの潜在顧客とのコミュニケーションの取り方ひとつで、結果は大きく異なってしまうものなのです。
DRMのCVR向上施策はWebにも応用できるか?
前項のCVR向上のための3つのポイント…興味を引き、次の行動示唆を与え、納得させること…は、実はそのままWebサイトに当てはめることができます。
ECサイトを例に取ると、CVRの良いサイトは次のような特徴があると言われています。
- Webサイト全体のデザインの質が高い
- 見出しタイトルのキャッチコピーや商品画像が印象的である
- ショッピングカートに入れた後のチェックアウトがスムース
- 購入確認画面までのナビゲーションで迷わせない
- 返品やプライバシーポリシーがわかりやすい
いやぁ、まったくDRMの三原則と変わらないじゃないですか!
これを購入する顧客心理に合わせてシミュレートすると、次のようになります。やはりECサイトで、5つのハードルを越えていくイメージです。
- 第1ハードル:デザインで好印象 ←第一印象でセンスの良さを体感。企業にも安心感を抱く
▼ - 第2ハードル:欲しいものを発見 ←お目当てを検索、キャッチコピーで心の琴線を震わせる
▼ - 第3ハードル:カートに入れ保存 ←購入するかどうか、カートに入れてじっくり考えてみる
▼ - 第4ハードル:購入確認まで進行 ←まだ迷いつつもレジへ。面倒なら止めるつもりだった
▼ - 第5ハードル:決定前に再度確認 ←返品などの不安も解消。信頼できる企業と認識し購入へ
もちろん、場合によってはクレジットカード情報を入力したり、アンケートに答えたりする過程(ハードル)も必要かもしれません。ただ、この流れをスムーズにするだけで、少なくとも途中離脱率(exit ratio:プロセスの各段階での離脱者合計/進入ページの全訪問者数)を数パーセントは低減させられるはずです。
疑う人は、試しにショッピングカートの画面で、次に何をするのか、いま全過程のどこにいるのかを図示する程度のデザイン改訂を施してみてはいかがでしょう。たった数万円の出費で、離脱率が減少し、結果的にCVRが向上するはずです。
