主役は会員、生活が楽しくなる場所を目指す
――サロンWEBについて、社内の反応はいかがですか?
髙谷氏:編集部では、コミュニティの意見を活かした雑誌の企画づくりが始まっています。編集長もコミュニティの反応に期待しています。リアルな読者の声が集まることで、自分たちが発信している雑誌が、どのように受け止められているかを知ることができますので。
――最後に、今後はどのような展開をお考えなのか教えてください
髙谷氏:オレンジページのコミュニティには、生活者の声が集まっています。企業が何かを調査したい時に頼ってもらえるような、生活者と企業が一緒に様々なことを考えられる場所にしたいです。自社コミュニティを持っている企業でも、当社のコミュニティをセカンドオピニオンとして活用していただけるといいですね。
もちろん、主役は集まっていただいた会員です。読者にとって、ここに来たら生活や暮らしが楽しくなるヒントがもらえる。自分の声を発信する達成感、企業や社会に貢献できるやりがい、生きがいを感じて、幸せになれるという場所にしたいです。
オレンジページは、読者がちょっと手を伸ばせば届くような生活、ステキになるノウハウを発信してきたコンテンツ力、消費者の心に届く変換力があります。それをコミュニティでも、もっと出していきたいです。
また企業が伝えたいことをオレンジページを通して発信するという、触媒としての役割もあると考えています。つまり、企業からのメッセージをオレンジページ読者の言葉に変えることができれば、読者と類似した生活者層に伝わるメッセージを作ることができるでしょう。コミュニティは始まったばかりですが、読者がついてきてくれているという実感があります。ですから、まずは少しずつ実績を作っていきたいですね。

コアファンの育成から活用へ
オレンジページの場合、読者との関係構築をこれまで地道にやって来た素地があり、それがコミュニティ内で活躍するコアファンを育成してきたと言えます。また、取材を通して、オレンジページ社自体の組織文化にも「読者とともに歩む」という文化が醸成されているように感じました。
このように育成してきたコアファンを自社の資産としてコミュニティでまとめ、他社の共創マーケティングのプラットフォームとして、企業とコアファンのWin-Winの関係を作る事例は今後増えてくると思います。
加えて、感心したのは社内説得のプロセスです。共創コミュニティの構築は、どの会社でも社内説得に時間がかかります。髙谷氏はワークショップやMROCを事前に実施し、小さな成功体験を積み重ねて、社内を巻き込んでいきました。このプロセスは、多くの企業でも参考になるのではないでしょうか?