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「おすすめしたい本ができた」Googleアナリティクスの達人、小川卓&野口竜司両氏に新刊インタビュー

データ分析のオートメーションが進んだとき、人が介在する価値とは

――データ分析の道具はとても便利になっていますが、使う側がうまく使えないと成果に繋がりません。GAの登場当時は「さてどう使おうか」という人ばかりでしたが、いまはGA職人のような人も現れつつあります。

小川:いよいよ、という感じですね。ようやく多くの人に行き渡った状態ですし、次はGAを施策に活かすというフェーズだと思います。ただ、正直に言うと、もう分析はしたくありませんね(笑)。いまマーケティングオートメーションの流れが来ていますが、もっと発展してもらいたい。そうなればツールを人が使う必要はなくなるので、解説本も必要ありません。

 4月にWACULが提供を始めた「AIアナリスト」というツールは、GAのデータを分析対象として連携できるんですよ。まだまだこれからではありますが、課題のページを全部ピックアップして、これを改善できたらコンバージョンが上がる、と提示してくれます。詳しい使い方はブログに書いたのでぜひ(ログを自動分析し改善箇所を提案する「AIアナリスト」を使って、話を伺ってみた)。

 とはいえ、データ分析の将来性にはいくつか方向があります。AIアナリストのようにツールが自動的に分析して提案してくれる方向と、いくつかの解析サービスやデータマイニングツールのようにものすごく高機能でがんがん分析できるようになる方向です。

野口:GAにはインテリジェンス イベントという変化を予測する機能がありますよね。AdWordsには「このユーザーはいいユーザーだと思います」と教えてくれる機能もありますが、GAも今後は生のデータだけでなく料理したものを提案する機能が増えるのではと思います。

小川卓さん、野口竜司さん

――仮にオートメーションが発展したとき、アナリストはどのように介在すればいいのでしょうか。

小川:分析そのものの業務は大きく減るかと思います。また、コンテンツやクリエイティブの作成なども、結果をもとに最適化されやすくなるかもしれません。しかし、分析と施策を繋げる部分に関しては、より重要性が増すのではないでしょうか。分析と施策を、経験とビジネスの理解から繋いでいく。そういった業務が増えていくのではないでしょうか。

野口:前提や例外といった初期の環境設定は人がやらないとダメですね。目標とKPIの設定は各業界や各企業によって異なりますから。

小川:入口と出口は人がやらないといけません。入口とはつまり、何のためにこのサイトを運営しているのかを考えることです。出口は、分析と施策から得られた事実などをもとに、ビジネスをどちらの方向に伸ばすかという舵取りや判断です。

野口:もちろん本書ではGAというツールを何のために使うのか、分析の結果をどう活かすのか、というところをきちんと押さえてあります。

マーケティングオートメーションでできないことが事業の価値となる

――自動化ツールの話は多くありますが、データをもとに自動的に改善施策をやるとすると、同じツールを使っている他社と似たような施策をやるだけになってしまう気がしています。事業の価値は他社との差異にあると思いますが、結局それを生み出すことが人の介在する意味なのかなと感じています。

小川:おっしゃることは非常によく分かります。マーケティングオートメーションの特徴はデータを活用して、最適な判断や施策を行なっていくところにあります。

 しかし、これはあくまでも投入したデータや仮説によってしか結果を導き出せないということです。新しいコンテンツや機能か何かを導入しようというときにはデータがないので、ツール側では最適化しようがないんです。「こういうコンテンツあればいいよね」と考えて作れるのは人だけですね。導入の結果は当然分析できますが、そもそも何を導入するかは、ツールではいまのところ決められません。

野口:同業他社との差別化でいうと、その企業しか持っていないユーザーのデータ(たとえばCRMデータなど)のインポートが重要ですね。あるユーザー層について、B社という競合においては重要ではなくても、自社にとっては最も大事なお客さんであることは多々あります。ですので、データ分析する際は自社の価値観における重みづけをするのがいいでしょう。

小川:例えば、BtoBでいえば、すでに契約している人の訪問とまだ契約していない人の訪問を同じと考えてよいのか? こういった判断や重みづけは人間が行なったほうが、現段階ではより適切な判断ができるのではないでしょうか。

野口:企業ごとにビジネスゴールがあり、それを達成してくれる顧客群があります。その人たちに対して適切なおもてなしができるかどうかが差になってくると思います。極力自動化できるところはやりきってしまって、そのあとどこに人的コストをかけるのか考えるべきですね。

小川:5年後くらいにはそういう世界にかなり近づいている気がします。分析業務は減りますが、付加価値の高い業務は残るでしょう。

――GAの話から分析の自動化に話が進みましたが、お二人の認識は共通されていますね。本日はありがとうございました。

 実は本書やGAに興味がある方に向けて、6月30日(火)に参加無料の刊行記念セミナーを開催いたします。本書を一読してお越しいただくと、より理解が深まるでしょう! 下記ページをご覧のうえ、お申し込みください。小川さん、野口さん、MarkeZine編集長の押久保だけでなく、日本でCAO(Chief Analytics Officerとして活躍されているあの清水誠さんをスペシャルゲストにお迎えします。

データ分析の達人×MarkeZine編集長! 『Googleアナリティクス実践講座』記念セミナー開催

奥深いデータ分析の世界へようこそ

 小川さんと野口さんは以前にも翔泳社からデータ分析の本を出版されています。名前を連ねる『LIVE! アクセス解析&Webサイト改善 実践講座』、『Live! ウェブマーケティング基礎講座』は、人気講師陣の講義を書籍化したもの。ウェブマーケティングを始めたばかりの方だけでなく、もっとデータを活用したい中級者以上の方にもおすすめです。

 お二人はMarkeZine Academyでも多数の講座を受け持っておられます。本書だけで充分と野口さんはおっしゃいましたが、もっと学びたい方は講座も受講してみるのもよいかと思います。つまずいたところ、疑問に思ったところを直接質問することができますからね。

 もし本稿で分からないGA用語が一つでもあれば、ぜひ本書を手に取ってみてください。本書は2人の達人のお墨付きで好評発売中です。

小川卓さん、野口竜司さん

なんとなくGoogleアナリティクスを使っている人へ

達人に学ぶGoogleアナリティクス実践講座

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達人に学ぶGoogleアナリティクス実践講座
売上に貢献するデータ分析がわかる7つのレッスン

著者:小川卓、野口竜司
出版社:翔泳社
発売日:2015年6月12日
定価:2,600円(税別)

目次

  • 1章 基礎編 目標とKPIの設計
  • 2章 基礎編 計測を始めるための準備
  • 3章 基礎編 基本的なメニューと用語
  • 4章 基礎編 よく使う4つのレポート
  • 5章 応用編 セグメントで顧客を分析
  • 6章 応用編 【目的別応用リファレンス】ユニバーサルアナリティクスから高度な分析まで
  • 7章 応用編 すぐに活用できるレポート作成のコツ

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/07/16 15:37 https://markezine.jp/article/detail/22489

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