重要なことは、地道に運用を重ねて施策の精度を上げること
MZ:ブームの兆しやキーワードのつながりが分かると、LP以外の広告コミュニケーションにも活かせますね。
山本氏:もちろん、そうですね。LPOはデジタルの施策として機械的にできることなので、そこは迷わずすぐに打つことができます。一方、キーワードのつながりや盛り上がる時期などの分析結果は、マス広告やキャンペーンのプランニングにも大いに役立つと思います。
松永氏:店頭のMD※でも活用できます。先ほど挙げたスポーツ飲料だと、例えば冬場に話題になる「乾き」対策の「水分補給」という文脈でも訴求できるので、冬の売り場づくりに活かすなどが考えられますね。
※MD(マーチャンダイジング):新商品・製品・サービスの開発や調達を通じて、戦略的に品揃えを行う活動のこと。
MZ:ちなみに、分析やそれに基づくデジタル施策の結果は蓄積できるのでしょうか?
山本氏:当社の「DLPO」と連携すればDMPに蓄積できるので、施策の反応データとともに知見を蓄積できます。また、人工知能を使った自動学習エンジンも備えているので、その点でも施策の精度を上げていくことが可能です。
ただ、大事なのは、やはり一次データの精度なんですよね。いくらシステムが素晴らしくても、そもそも扱うデータの精度が低いと結果が出ません。
松永氏:最近聞く言葉でいうと「マスターデータマネジメント」ですね。実際、テレビ番組の情報を取り入れてリアルタイムでLPOを行ったとしても、数時間で急にコンバージョンが跳ね上がるわけではありません。精度の高いデータを前提に、地道に運用を重ねることで、少しずつ成果も上がっていきます。
制作者や生産者に利益が還元される仕組みへ
MZ:テレビ番組のデータやオーディエンスデータを含めた分析と打ち手を、両社でソリューション化している最中とのことですが、今後の展望や期待をお聞かせください。
山本氏:私がテレビ番組のデータが重要だと思っているのは、プロの制作者がつくったものだからです。限られた枠を目指して切磋琢磨してつくられているテレビのコンテンツの質は、やはり高いと思います。
冒頭で需要の創出とお話しましたが、当社ではそれによって日本の活性化を目指しています。同時に、コンテンツや広告の制作者、実際に売れたモノの生産者など、質の高いものを生み出した人に利益が返る仕組みをつくりたいですね。 さらに個人的には、事業を通して、地味に思われがちな理系の力を活かせればと思っています。
松永氏:私も同感です。システム開発には有能な理系の人材が多くかかわっているので、そうした部分にもスポットが当たると嬉しいですね。
MZ:ありがとうございました。ちなみに、直近で注目のキーワードをひとつ教えてもらえますか?
山本氏:「卵」ですね。エッグベネディクトといった新しい食べ方も出てきて、分析からも勢いよく伸びていることが分かります。夏場に必ず聞く「土用の丑の日」といえばうなぎですが、本来は滋養をつける意図なので、同じく滋養のある卵と掛け合わせた「う巻き」などはいかがでしょうか。
こういったつながりを見つけるのに、自動化できるところはシステムに任せて、人の力ならではの発想に時間を費やしていただければと思います。