オンライン動画を使いこなすために
マーケティングにオンライン動画を活用するには、どのような動画を、どういった目的のために制作するべきなのでしょうか。これは一見基本的な問いのようですが、意外と明確な答えがなく、オンライン動画の活用をはじめようとする企業の皆様が、悩みがちなポイントの一つかと思います。
前回ご説明したように、映像は構成要素が多く、バリエーションが大変豊富な表現手法です。海外の制作会社が整理したオンライン動画の区分によると、ビジネスに関するオンライン動画だけでも、なんと51種類(!)の区分があるそうです(参考記事)。
マーケティング施策を企画する上で、手段を網羅的に洗い出し、それぞれの特徴を理解する事は大前提の行為です。その上で、マーケターとしては可能ならば全て試して効果を確認し、組み合わせまで最適化していきたいところ。しかし、51種類もあっては理解することすら難しく、試すまでに及びません。
オンライン動画活用戦略モデル
意味のある切り口から施策を整理・分類する事は、マーケティングプラン立案における基礎であり、その後の工程に影響する重要なポイントでもあります。そこでViibarでは、オンライン動画の活用パターンを下図の「SHHIP(シップ)」というモデルで5つに整理しています。
SHHIPは、人の流れという切り口から動画活用のパターンを整理したモデルです。左側に流入元となるソーシャルネットワーク、検索エンジン、ペイドメディア(有料で動画広告の挿入が可能な媒体)を配置し、中央に流入先となる自社の情報発信領域(自社サイトや自社チャンネル、Facebookページ等)、右に申し込みや購入など最終的に視聴者にとってほしいアクションを並べています。
その上で、各要素間の橋渡しをする役割として次の5種類に動画を分類しました。
- Star(人気者)
- Help(助け)
- Habit(習慣)
- Insert(差込)
- Persuasion(説得。読みはパースエイジョン)
また、このうちの1~3については「コンテンツ系動画」、4~5を「コマーシャル系動画」という分類も行っています。
ここで言うコンテンツとは、視聴者の役に立つ内容を第一義とした動画のことで、コマーシャルとは、企業が伝えたいメッセージを伝えることを主軸においた動画を示しています。簡単に言えば、宣伝要素の濃度が違います。
従来テレビの世界では、視聴者のためにある番組コンテンツと、スポンサーのためにあるコマーシャルは、放送枠も内容も区分されており、異なるジャンルのものとして捉えられる傾向がありました。テレビ番組制作会社とCM制作会社が別々に存在していることを踏まえると、産業自体が分化していたとも言えます。
一方オンライン動画の世界では、インターネットユーザー自らが作る動画など内容は多様化、また枠としてはあらゆる要素が横並びに表示されるため、コンテンツとコマーシャルの垣根が薄くなってきています。
また、作り手も動画制作プラットフォームを通じ、テレビ番組のコンテンツ制作、コマーシャルの制作を出自関係なく動画を制作する機会が増えています。
結果として、企業がコマーシャルではなくコンテンツを発信し、その中で間接的にメッセージを伝えていく新しい映像表現も増加してきました。このようなコンテンツ寄りの表現が多く使われるのが、1~3(Star、Help、Habit)のパターンです。
そして、SHHIPの各パターンの特徴をまとめると以下のようになります。以降、それぞれの詳細について紹介していきましょう。