金融サービスでの不正検知システムの知見を広告領域へ
MarkeZine編集部(以下、MZ):今、生活者はさまざまなデバイスを自由自在に使いこなし、その流れの中で一貫したサービスを受けたいという潜在ニーズも高まっています。こうした状況に対応できるのが、AdTruthの技術だと認識していますが、まずは先行して展開されているAdTruth DeviceInsight(以下、DeviceInsight)の特長を教えていただけますか?
鳥井:DeviceInsightは、デバイスの持つ情報を統計的アルゴリズムで処理して、ユーザーが使っているデバイスを推定し、IDを生成する技術です。
例えばスマートフォンが一般化した今、よく課題となっているのは、ブラウザとアプリをまたぐと、同じユーザーでも別々にしか認識できないことですね。DeviceInsightは、プライバシー情報やデバイス識別情報を取得せずに、同じユーザーだと検出することができます。
MZ:41st Parameterでは、どういった背景からDeviceInsightの開発にいたったのですか?
鳥井:2004年に米国で設立した当社は、元々は金融サービス向けに、不正なカード利用やアカウント乗っ取りなどを見つけるオンライン不正検知システムを提供していました。ここで培ったアルゴリズムと知見を、個人情報を使わないデバイス推定の技術に反映させて、広告マーケティング向け事業を開始しました。2010年のことですね。
あらゆるID情報を結びつけるAdTruth Resolve
MZ:金融領域での不正検知という、かなりクリティカルな部分で企業のサポートをされてきたのですね。DeviceInsightは、どのような事業者に導入されていますか?
鳥井:アドネットワーク、パブリッシャー、アプリなど、デジタルマーケティング事業を行う企業が中心です。国内外で、大手企業を含めてすでに多数のネットサービス事業者に使っていただいています。ちなみに当社は、2013年にExperianの傘下となり、今ますますグローバル展開を拡大させているところです。
MZ:では、リリースされたAdTruth Resolve(以下、Resolve)について、詳しく教えていただけますか?
鳥井:Resolveは、ひと言でいうとデータのリンケージシステムです。DeviceInsightでは、同一デバイスにAdTruth独自のIDとしてDeviceInsight ID(以下、DI ID)を付与し、その情報を導入企業が管理・活用しています。ただ、多くの企業では元々、ログインIDやCookie、IDFAといったさまざまな情報を保有しており、その管理や同一性の検出がとても困難な状況でした。
ならば、これらをすべてつなげられるリンケージシステムを開発し、DI IDも含めてまとめて整理できるようにしようと考えたのです。これにより、ユーザーを高度に可視化することが可能になります。